ブカプアサを一緒に 隣り合うモスクと教会 「異教徒も尊重」
ラマダン(断食月)はムスリムにとって神聖な月であると同時に、異教徒にはムスリムを尊重することを再確認する時期でもある。
カテドラル(大聖堂)と向かい合う中央ジャカルタのイスティクラル・モスクは、建国の父・スカルノ初代大統領が建てた「寛容な国」の象徴でもある。
同モスクで働くアブ・フライラさん(37)は「インドネシアは『寛容』な国。イスラムも中東の厳格なものとは違う」と話す。モスクのロビーでジュースの売り子をしている女性はキリスト教徒だ。「異教徒がモスクに来るときはイスラムの教えに従い、露出を控えてくれる。お互いを尊敬し合っているんだ」
一方、カテドラルはラマダン期間中、ムスリムの断食の時間帯は外で食事をしないよう、礼拝時に指導している。
カトリック教徒のインドネシア大学(UI)講師、アロイシウス・アンディカさん(25)は、西ジャワ州ブカシやボゴールなどで取りざたされる一部の宗教対立について「寛容さに欠けるほんの一握りの人たちの仕業。私の周りで宗教が原因の対立はみたことがない」と語る。インドネシア全体としては異教徒でも尊敬し合っており、深刻な問題ではないと強調する。
2週間後に学生時代のムスリムの友人らからブカ・プアサ(1日の断食明け)の食事会に招待されているという。「私にとってはただの夕食でも、1日の断食明けを祝うムスリムの友人ととともに再会の喜びを分かち合うことができる」