南極・熱帯を生中継 昭和基地とJJS 野菜栽培、カレーの日 気温差63度、極地の生活知る

 南極での生活について知ってもらおうと、ジャカルタ在住の元南極観測隊3人が中心となり、バンテン州南タンゲラン市ビンタロのジャカルタ日本人学校(JJS)で26日、南極・東オングル島の昭和基地とテレビ電話で生中継する「南極教室」を開いた。熱帯のインドネシアと南極。地球の両極端といえる両地点の気温差は60度に達する。約9千キロ離れた極地の生活に児童は興味津々な様子で、「シロクマはいるの」「食べ物はどうしているの」と盛んに質問をぶつけていた。

 日本の南極の基地とインドネシアが映像を交えて生中継でつながるのは初めて。同校を訪れたOBは西分竜二さん(34次越冬隊)原稔さん(同42次、47次)、蓮池久永さん(同47次)の3人で、小学部5、6年生の230人が参加。東京の国立極地研究所を経由し、衛星通信でやり取りした。
 中継先の現地隊員は、基地で行う気象観測や地震の測定、空気の成分分析などの活動や、31人いる隊員の役割分担を説明後、基地内を巡回。日本の70世帯分の電力をまかなう巨大な発電機や、カップラーメン、スナック類が大量に保管された食料倉庫などを紹介した。風呂や卓球やビリヤードができる娯楽室やバー、隊員が互いに髪を切る「床屋」などの設備も示された。
 曜日の感覚を忘れがちになる極地で、毎週金曜日を「カレーの日」にしていること、野菜を確保するために基地内でミニトマトやキュウリを水耕栽している様子など、1年4カ月に及ぶ滞在生活上の工夫も紹介された。
 授業当時、ジャカルタの気温は33度。屋外に出た隊員がかざした温度計がマイナス30度を示すと、児童からは「おおー」という驚きの声があがった。
 児童と隊員との質問コーナーでは「南極で雪だるまは作れるのか」「地球温暖化の影響で南極の氷はどのくらい解けているのか」「氷の厚さはどれくらいあるか」など矢継ぎ早に質問が飛んだ。
 国立極地研究所で保管している「南極の氷」の実物も児童の手元に配られた。雪が自重で圧縮された氷は、内部に多くの空気を含んでおり、解ける時に内部の気泡がはじける音が聞こえるのが特徴。児童は氷に耳を近づけ、ばちばちという音を聞きながら、「大昔の空気が含まれているかもしれない」という隊員の説明に思いを馳せていた。
 6年生の沖原有佑君(12)は授業後、「快適に生活する工夫が興味深かった。温暖化で解ける南極の氷の量(年間0.14ミリの海面上昇分に相当)に驚いた」と感想を話した。
 西分さんは、南極は地球の環境問題を知る上で、最適な場所として、環境破壊に直面するインドネシアでも南極観測活動を紹介してきた。OBが偶然にも海外の同じ都市に住んでいる機会を生かそうと今回、3人で南極教室を開くことにした。

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