世論調査に疑念上がる ジョコウィ躍進予測できず 事前予想は「総崩れ」

 11日に投票が行われたジャカルタ特別州知事選で、民間調査機関が事前に実施していた世論調査による予想と実際の結果が大きく異なったことで、敗退した陣営や専門家らから調査機関の信頼性に疑問が呈されている。言論弾圧を進めたスハルト政権が1998年に退陣した後に急増し、民主主義の定着に向けた一つのバロメーターともなってきた調査機関。選挙キャンペーン期間終了後の結果発表が禁じられていることもあり、直前で形勢が変わったとも予想できるが、以前から世論調査の信用性に疑問を持つ声が上がっていたこともあり、調査機関への視線は、今後一層厳しくなりそうだ。

 事前調査では現職のファウジ・ボウォ氏がジョコ・ウィドド氏(通称ジョコウィ)ら2位以下を大きく引き離すとの見込みを伝えていたが、結果はジョコウィ氏がファウジを10ポイント近くの差を付けて得票率1位となった。
 インドネシア調査研究センター(リンカラン・サーベイ・インドネシア=LSI)が4月に発表した支持率調査では、ファウジ氏が現職としての知名度を生かし、49.1%の支持を集めていた。ファウジ氏が20―40%の支持を集めているとしていたほかの調査機関を含めて、事前調査は「総崩れ」となった。
 世論調査に関しては、各調査機関と政党とのつながりや統計学的な根拠に関して以前から批判的な見方があった。2009年の大統領選では、出馬したユスフ・カラ前副大統領陣営のコンサルタントが代表を務めていた調査機関が、カラ氏の得票率がユドヨノ氏に接近するとの世論調査の結果を示していたが、結果はカラ氏の惨敗。この調査機関は間違いを認めて、大統領選後に解散した。
 17日に開かれた討論会では、福祉正義党(PKS)擁立のヒダヤット・ヌルワヒッド知事候補とペアを組み出馬した知事選で敗れたディディック・ラフビニ副知事候補は「すべての事前調査が間違っていた。これには疑問を呈する必要がある」と述べ、一部の調査機関は商業目的でデータを操作していた可能性に言及。ほかの参加者からは中立性を保つため、大学が事前調査を担うべきとの意見も出た。

■「最新情勢反映できず」
 日本の国際協力機構(JICA)の支援で2003年に設立されたインドネシア調査研究所(LSI)のブルハヌディン・ムフタディ研究員はじゃかるた新聞の電話取材に対し、投票の直前に世論調査を実施して結果を公表することが禁じられていることから、「事前調査では最新の情勢は反映できない」と述べ、LSIは今回、調査を実施していないが、他機関の調査の信頼性を擁護。浮動票が投票直前にジョコ氏に流れたことで、調査と異なる結果が出たとの見方を示した。
 一方で、98年の民主化以降、全国の地方自治体で直接選挙が始まり、票読みに必要とする政党などからの事前調査への需要が高まったことから機関数が急激に増えたと振り返り、「信頼できるかどうかは各機関によってまちまちだ」と説明した。

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