島外からの買い付け殺到 ラマダン前のタナアバン卸市場 イスラム服需要見込み

 20日ごろに迎えるラマダン(断食月)を控えた18日、中央ジャカルタにあるタナアバン市場の卸問屋・小売り店が集うビル「ブロックB」はたくさんの人でごった返していた。
 ラマダンに入るとイスラムに沿った生活への意識が普段以上に高まり、さらにレバラン(断食明け大祭)に合わせ服を新調する習慣がある。そのため、ムスリムファッションの需要増を見込み、カリマンタン島やスマトラ島から卸売り・小売り業者が買い付けに押し掛けている。
 入り口付近には商品が詰められた袋が無造作に置かれ、中に運び込まれていった。
 1700年代に布地・衣類専門市場として建てられたとされるタナアバン市場。現在は、エスカレーターが動くなど、整備された近代的な建物になった。排気ガスが充満し、強い日差しが照りつける屋外とは違い、ビル内は冷房が利き、照明も明るい。買い付けに疲れた女性たちは大きく膨らんだ買い物袋を置いて床に座り込み、ゆったりと食事や雑談を楽しんでいた。
 東カリマンタン州クタイ・カルタヌガラ県テンガロンから夫婦で来たハリー・スプラトノさん(35)の買い付けは今年で3度目。「全体的に、タナアバン市場の商品の値段が上がってきた。品質もちゃんと上がっている」と評価。イスラム服を7万5千―20万ルピアで買い付けて、2倍の値を付ける。「東カリマンタンでも、単価が高くても少しずつ売れるようになってきた」と語った。
 一般のファッションと同様、インドネシアのムスリムファッションの流行も年によって少しずつ変化する。男性用イスラム服を扱う「アスリム」のアスリ・メドリさん(42)は「今年のバジュ・ココ(礼拝服)は、胸元に刺繍を付けたものが増えた。うちでは袖や襟にバティック柄を取り入れたデザインで売ってるよ」と説明する。売れ行きは絶好調と語り、「スマトラ、カリマンタンからの買い付けが多く、売り上げは通常の2倍近い」と満足そうだ。
 タナアバン市場は、国外でも衣料品の流通拠点として知られている。親戚たちのために21着のカフタン(ムスリム女性用のロングドレス)を買ったというマレーシア人のリナ・アズラさん(29)は「インドネシアのムスリム服は安くていいものがある。ブロックBは涼しくて買い物がしやすい」と語った。

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