【じゃらんじゃらん特集】 オランダ人が手ほどき バリ島の油絵教室
王立ハーグ美術院で学び、現在はバリ島を拠点に活動するオランダ人画家のノエラ・ロスさん。ヨーロッパやアジア各地の展示会に出展するかたわら、自分のアトリエで油絵教室を開いている。バリ島サヌールの細い路地の突き当たり、塀の扉を押して中に入るとテレピン油に油絵の具が溶けるあの独特の匂いがした。バイオリンソナタが静かにかかる中、生徒らが黙々とバリ人女性をモデルに絵を描いていた。(北井香織、写真も)
■基礎から学ぶ
レッスンは毎週木曜日の午前9時から午後2時まで。いきなりモデルを前に筆を取るのではなく、毎回、短い講義で始まる。この日のテーマは絵の構図の種類。対照的、中心的、三角形などを実際の有名絵画を使って説明した。内容は事前にメールで送られ、読んでおくことが宿題。絵を描くだけの教室と想像していたので、内容の濃さに学生時代に戻った気分になった。
「レッスンは8回を一区切りとしています。この中で基礎からしっかりと、出来るだけ多くのことを学んでもらうためです。レッスンごとに構図、人体構造、色や画材に関する知識、スタイル、美術史のどれかについて話します。テクニカル過ぎると感じるかも知れませんが、絵を描く上で必要な知識です。例えば、人間を描くには筋肉や骨格についての知識が不可欠です」とノエラさんは説明する。
生徒は初心者からプロのイラストレーターまでと様々。8回のセッションを繰り返し受けている人もいるが、講義は何回聞いても勉強になるという。
■まず人間を描く
講義の後は、モデルを前に人物画を描く。1人はバリの伝統衣装を着た女性。もう1人はヘルメットを被ったTシャツとジーンズ姿の女性だ。いきなり人物というのは難しくないか、との問いにノエラさんは「人を描くには会話をするなどして、まずその人を知る必要があります。人の顔を描くことに恥ずかしさを感じる人は多いですが、それを乗り越えるのも訓練の一つです」。
ある程度描けたところで、ノエラさんが一人一人の絵を見ながらに丁寧に指導する。「ほら、ヘルメットのこの部分は、光が当たって明るく見えるでしょう。だから白色をこう使って明るさを描き出すように。逆にここは暗くすると、ほら、絵にぐっと深みが出ます」。筆を取っての指導はとても分かりやすい。別の生徒には美術書を開いて、レンブラントの作品を例に、その微妙な明暗による表現方法を説明していた。
参加希望者は、事前に必要な画材や画材店について資料をメールで受け取り、自分で買いそろえる。「こういうものが描きたい、こういうことが知りたいというリクエストは大歓迎です。美術本もたくさん揃っているので時間の合間に開いて見てください。レッスンはいつからでも始められます」。本格的に油絵を学びたい人だけでなく、日常を離れて絵描きに集中したいという人にもおすすめだ。
◇油絵教室
毎週木曜日午前9時―午後2時
料金:8回で320万ルピア
飲み物、昼食付き
携帯電話: 081-3373-55106
メール:noellaroos@hotmail.com
ウェブサイト:www.noellaroos.com