レトロとアートを掛け合わせ Mブロック・スペース ペルリ・ギャラリー・博物館

 昭和レトロとかノスタルジーなどというのが日本でもちょっとした流行りになっていますが、インドネシアでも希望とエネルギーに満ちた独立以降のインドネシアを懐古し、今風のテイストにアレンジしたライフスタイルを楽しむ流行は続いているようです。コンクリート打ちっ放しのカフェでのおしゃべり、あえてクラッシックなモデルのスポーツ用品を選んだりするのもそのひとつ。また、レトロとアートの掛け合わせもはずせません。今週のおすすめ観光情報は、古い紙幣印刷機などをオシャレに展示する「ペルリ・ギャラリー・博物館」を紹介します。         

 ペルリ・ギャラリー・博物館の「ペルリ」はインドネシアの国営紙幣印刷造幣所の名称、つまり長い名称で呼ぶなら「インドネシアの国営紙幣印刷造幣所ギャラリー博物館」ということになります。
 この博物館は、ブロックMの日本食レストランや日系スーパーが並ぶいわゆるリトルトーキョーとしてジャカルタ在住の日本人にとってお馴染みのエリアからトランスジャカルタのバス停を挟んだ北側一帯のエリア「Mブロック・スペース」内に位置しています。「Mブロック・スペース」は若いクリエーターが新しい創造をする場というコンセプトで再開発が進んでいる複合商業施設。飲食店やセレクトショップが並ぶほか、様々なイベントや撮影会の会場としても利用されるなどマルチな媒体で次々と流行を発信しながら夜間や週末など大変な人出で賑わっています。
 そんな「Mブロック・スペース」の敷地はかつて、きらびやかなネオンが輝くリトルトーキョーとは対象的に半ば廃墟化した国営紙幣印刷造幣所の建物群が建つ広大な暗闇でした。この埋もれた宝に光が与えられ、再開発が行われてからはあれよあれよと言う間にジャカルタいちの個性的でクリエイティブな若者が集う場となり、その一角にこのギャラリーが開設されたのです。
 展示されているのは、実際に国営紙幣印刷造幣所で使用されていた印刷機、切断機、紙幣を数えるための機械などです。どれも赤茶に変色した重厚な金属製。1948年、1960年代、1970年代、オランダ製という札が付いた機械もあります。実用性と機能美を兼ね備えた機械というアート作品が、崩れた壁がそのまま窓やゲートに生まれ変わったレトロモダンな空間の中でより情緒的に映えています。
 手のひらサイズのスマートフォンを片手に指先ひとつで買い物、今や現金さえあまり使用することもなくなっている若い世代が、これら本物の機械からオブジェとしての美しさはもとより、インドネシアでの造幣の歴史、お金の価値、この土地や建物群の歴史などを学び、自分たちのルーツや未来などについて思い感じて欲しい。この場所でのギャラリー開設には所有者や開発者のそうした願いがあるように思います。
 「博物館」と呼ぶには小さな「ペルリ・ギャラリー・博物館」ですが、こんな片隅にもインドネシアのちょっとした歴史秘話が潜んでいます。皆さまもぜひ、ブロックMでのお食事やお買い物の際には立ち寄ってみてはいかがでしょうか。 (日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)

◇PT. JABATO INTERNATIONAL
電話 :021・520・2091
メール:sonoko_mizugaki@jabatojkt.com

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