今ある素晴らしさを大切に 吉田浩一校長 BJS
バンドン日本人学校(BJS、西ジャワ州バンドン市)で、前校長から吉田浩一校長へバトンが渡された。吉田氏は「色々な経験をしてきたからこそ、微力ながらできることがある。こんな私でも力になれるのであれば」との思いから海外校の校長職を志願。これまで広島県安芸太田町、呉市、熊野町の小学校で11年間校長職を歴任したほか、教員時代には米国やブラジルの日本人学校で指導経験を持つ。
吉田氏は今後の学校方針について、「新しいことをする前に今ある素晴らしさを大切にしたい。まだ着任したばかり。まずは生徒を知る事が重要」と当面は前校長の方針を引き継ぐ考えという。
「生徒を知る」。この姿勢は4月13日の入学式でも現れており、校長自ら生徒にコサージュをつけてもらうお願いをするなど、児童生徒と積極的に会話を図ろうとする姿があった。
「全てのことを何のためにやるのか。子どもにつけたい力や体験させたい内容を明確にしながら、BJSだからこそできることを目標としたい」
新型コロナ禍を経た今年の学校行事では、毎年恒例になっているから今年も実施するといった習慣化されたものではなく、意味や目的を1度立ち止まり考えるという。
海外での教員経験では、1995年に3カ月間、米国西海岸のオレゴン州へ。さらに2001年から3年間、在ブラジル・マナオス日本人学校へ派遣された。マナオス日本人学校では、BJSと学校規模や緯度、成る果物もほとんど一緒だと吉田氏は言う。
また、「ブラジルは、多民族国家であることや日系人が多く親日。日本人であるだけで信頼される」として、「そこもインドネシアと似ている」とにこやかに笑った。
一方、着任時のBJSの印象は「教員と生徒は良い意味で距離が近い。厳しさと、寄り添う優しさを両立させた良好な人間関係を感じた。これを継続させ、深めていきたい」と語った。
また、日本では、教育現場のブラック化による教師不足が深刻な問題となる中、吉田氏は「校長が学校を作るのではなく、先生たちが学校を作る」と語る。「自分の考えでは、校長の仕事は2つだと思っている。学校や生徒、職員を守るディフェンスとしての役目と先生の力を発揮してもらうため、より先生が働きやすい環境を作ること」と述べた。(青山桃花、写真も)