緑とキュンとなる懐かしさと フタン・コタ・スレンセン 都会の森
インドネシアの断食明け大祭レバランと日本の大型連休ゴールデンウィークが絶妙なタイミングで重なり、在留邦人の皆さまの中でも先月から今月上旬にかけて多くの方々が一時帰国や旅行に出かけたのではないでしょうか。コロナ禍以降初めて遠出をした、インドネシア国内旅行をした、という声もあり、これから益々旅行気分にも拍車がかかることでしょう。そんな今月のおすすめ観光情報は、次の長期旅行の予定を立てつつ日常生活の中で気分転換になる近場はないかとお探しの方にもピッタリな場所、都会の森「フタン・コタ・スレンセン」(Hutan Kota Srengseng) を紹介します。
「フタン・コタ・スレンセン」はジャカルタ中心部のスマンギ交差点からも車で20分から30分程度という位置にあるまさに都会の中の森。ジャカルタ特別州が保護管理をしています。知らないでいると通り過ぎてしまうだけのような門を入ると小さな入場券売り場があり、チケットを買ってゲートを抜けると広い駐車スペース、その奥に散策路の入り口があります。さっきまで通っていた四輪車や二輪車が連なる道路からほんの数十メートル内側に入ってきただけなのに、あの雑踏を瞬時に忘れる静寂と木々のぬくもり。一瞬キュンとなるような言いようのない懐かしさも漂っています。
目に付く木々には植物園のように名前や特徴を記した案内板も付いています。ブランコなどの遊具もあって小さな子どもたちも遊べる公園になっています。森の中の散策路は舗装されているのでぬかるみにはまったり道を外れたり迷子になる心配もなさそうです。普段セカセカと歩いている何倍もの時間をかけながらゆっくりゆっくり周遊してみました。
緑と土の香り。思い切り深呼吸をしながら耳を澄ましているとカサカサと高い枝で葉っぱが揺れる音、パサッと枯葉が舞う音、コツンと種が地面に落ちる音……様々な自然の音が聞こえてきます。目に映るのは摩訶不思議な形状をした木の幹や根っこや葉っぱ。鮮やかな色の花を咲かせた木、すでに種になっている木。きっと別の時期に来たらまた違う花が見られるのでしょう。
地面は落ちた葉っぱや種子で覆われていて、肥沃な土壌が作られ次の命が繋げていく森そのままの姿が。ここでは、人が手を加えるのは最低限、植物や環境をできるだけ自然の状態で保護していることがわかります。入口でキュンとなった懐かしさは人間の自然回帰本能だったのかも知れません。
更に奥に進んで行くと池がありました。緑が溶け込んだような静かな緑色の水面、ほとりでは静かに釣り糸を垂らす人たち。家族連れや子供だけではなく、大人の男性たちの都会の隠れ家、ちょっとした週末の憩いの場になっているようです。
昼間人口2000万人とも言われるジャカルタの都心部は高層ビルが次々に建設され続けている大都会でありながら現在でも緑溢れる潤いの街。街路樹や駐車場のちょっとした植え込みなどどこにでも南国らしい活き活きした植物がありますが、現在ほど開発が進む前のジャカルタにはもっと多くの森があり、その昔はうっそうとした原生林が茂っていたことでしょう。時を経て、大都会となった2023年のジャカルタの森「フタン・コタ・スレンセン」はそんな昔のジャカルタを思い描いてみるのにも面白い場所。軽いジョギングや息抜き、写真撮影やスケッチなども楽しめそうです。皆さまも気分転換に訪れてみてはいかがでしょうか。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)
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