ジャカルタ近郊で自然体験 奇岩ウォーク ゴア・グルンガン
コロナ禍を経て迫りくる師走の足音......と言えば少し早いかもしれません。しかしそうしている間にもジャカルタではすっかり定着したアウトドアブームにさらに拍車がかかり、ジャカルタ近郊では自然を堪能するカフェやグランピングなどの施設が続々とオープンし人気を集めています。一昔前までは観光素材は素晴らしいものの、そこまでの道中や実際に訪れた際に気になるゴミのポイ捨てなど課題が多かった場所も見違えるほど綺麗に保たれるようになってもいます。これからますます注目される自然派体験。今回のおすすめ観光情報はジャカルタからも半日観光でさくっと行くことができて非日常を味わえるスントゥールの奇岩ウォークを紹介します。
ジャカルタから車で1時間弱、アクセスの良さと豊かな自然で人気のスントゥールエリア。リゾートホテルや大型テーマパーク、数えきれないほどある川や滝は定番の行楽地になってい
ます。その中でも異色の風貌を持つのがゴア・グルンガン。
「ゴア」はインドネシア語で洞窟、「グルンガン」は西ジャワの言語であるスンダ語で「グループ」を意味するとのことで、イメージとしては「たくさんの洞窟」「洞窟の団体」といったところでしょうか。何やら興味をそそられるその名のとおり、ゴロゴロと転がっている崩落した岩盤や隆起した奇岩の数々。
超ミニミニ小型版のグランドキャニオンのような渓谷が広がる一帯はジオパークにもなっています。
公園内は綺麗に整備されていて休憩ができる茶屋もあり立派な観光地になっているので、奇抜さよりも自然に囲まれた静観さに和みます。「洞窟っていう名前だけど、洞窟はどこ?」。と思いながら奥に進むと奇岩と奇岩の間に隠された地下への入り口があります。人ひとりがやっと降りることができるはしごが地下に続いています。「気を付けて」と注意されながらゆっくりと降り、奥に進むと世界は一変。ひんやりとした鍾乳洞の洞窟の中にコウモリの大群が生息しています。太陽の光が注ぎ、緑豊かで色鮮やかな花が咲き乱れる地上とは対極の暗黒の世界です。あらためて自然の不思議に好奇心が掻き立てられる、ワクワクプチ冒険です。
岩壁や奇岩だけではありません。ゴア・グルンガンジオパーク入口にたどり着くまでのトレッキングルート(と言ってもほぼ民家や畑の間の小路)でもジャカルタ都心部では触れること
が少なくなってきた珍しい自然を見つけることができます。可憐な花、色鮮やかな蝶、倒木の樹皮にぷつぷつと生えているキノコ、山麓のあたりでは植生を活かして天然の松脂の採取もさ
れています。
筆者がジャカルタに赴任してきた20年以上前、当時の同僚が海も自然も好きではないと言っていました。海も自然もインドネシアにはどこにでもあって当たり前すぎてもう飽き飽き、田
舎っぽいし、私は都会的で近代的な物が欲しいのよ、と。
インドネシアの海岸や自然公園に行ってもポイ捨てされたゴミばかりだったのは庶民の中にあったそんな深層心理が原因のひとつ
だったのかもしれません。
時を経て、大型ショッピングモールや高級飲食店が街中にひしめき合うインドネシア。コロナ禍を経てバック・トゥ・ザ・ネイチャーが見直されるようになった今、インドネシアでも「何もない」を楽しむことが贅沢とされるようになってきたのは当然の流れなのかもしれません。皆さまもぜひ、週末の半日を使って奇岩ゴロゴロのゴア・グルンガンジオパークでストレスフリーな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)
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