異国情緒たっぷりの街 受け継がれる文化と活気 タンゲラン
いよいよインドネシア国内外の観光旅行が本格的に活性化してきました。待ちに待ったアフターコロナの旅行シーズン到来です。とはいえ、コロナ禍で旅行らしい旅行をしばらくしていなくて……と言う方も多いでしょう。そこで今回のおすすめ観光情報はジャカルタから日帰りでひょっこり行けるジャカルタ特別州のお隣、バンテン州タンゲランへ、遠出前のウォーミングアップはいかがでしょうか。
タンゲランといえばスカルノ・ハッタ国際空港、ジャカルタ日本人学校、大型商業施設のあるアラム・ストラやBSDなど在留邦人の皆さまにもすっかりお馴染みな場所ばかり。ところが旧市街のダウンタウンとなるとあまり知られてはいないようです。それではもったいない、タンゲランのダウンタウンは行ってみると実に面白い、鄭和大艦隊の船団が到着して以来継承されているプラナカン文化の歴史遺産、古き良きインドネシアの情緒と現代インドネシアのエネルギーが溢れる街なのです。
街歩きは首都圏通勤鉄道(KRL)のタンゲラン駅から。駅舎を出るとすぐに懐かしい雑貨、家電、衣料品などのお店が軒を連ねる駅前通りです。そこからトコトコ歩くとモスク、中国建築風の屋根が目立つ古い商店街へと続きます。いわゆる中華街と呼ばれる商店街には赤い提灯がかかっていることが一般的ですが、ここにはイスラム教の聖なる色である緑色の提灯が連なっています。中国文化が色濃く残る街にイドゥルフィトリ(断食月明け大祭)のお祝いをする緑色のイスラム教の提灯。この街に特別な文化融合が存在していることがわかります。
ひときわ賑わっているところに着きました。ジャカルタ中心部ではあまり見かけなくなった大規模伝統市場「パサール・ラマ」です。色とりどりの新鮮な野菜や魚介類、この土地ならではの中国文化の影響を受けた沢山のお菓子や豚肉料理を売るお店の数々。キョロキョロと左右を見ながら歩くだけでも大興奮ですが、ちょっとでも足を止めようものなら「見てって見てって」「何? どれ? いくつ?」と商魂たくましい人々から声をかけられます。この生の声、人とのやり取り、何もかもがオンラインになって以来遠ざかっていた、暖かく心地よい人と人とのふれあいを実感します。
「ベンテン・ヘリテイジ博物館」もこの一角にあります。この博物館は、1407年に鄭和の大艦隊の船団が到着してから今に至るプラナカン文化を伝承するインドネシア唯一のプラナカン博物館だそうです。建築は1700年代のもので当時の物という装飾が残っている部分もあれば、改装された部分もあり、コレクションも様々な年代の物が展示されています。大航海を果たした宝船の模型、古銭、細かなレースのプラナカン・クバヤ(女性の正装)、陶器、家財道具など、興味がある人にはうっとりするような贅沢な展示品、初めて目にする物にいちいち「すごい」「うわぁ」などと声を上げながら時を忘れて見入ってしまうほど。
鄭和の大航海でインドネシアの寄港地といえば、東ジャワのスラバヤとスマトラ島のパレンバンが日本では良く知られていますが、インドネシア国内では中部ジャワのスマランにある三保洞が鄭和ゆかりの寺院として有名ですし、タンゲランにもこうした濃厚な博物館があるとは歴史好きにはたまりません。
タンゲランのダウンタウン歩き。何代にも渡って受け継がれる文化と今を生きる人達の活気を感じながら、何度も「海外旅行に来たみたい……」とつぶやいてしまったほどジャカルタの隣とは思えない異国情緒たっぷりの街。疲れを癒してくれるレトロなカフェや美味しそうな食堂やおやつの屋台も目移りするほどありました。皆さまもぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。なお、公共交通機関利用時や人混みでの安全には十分注意してくださいね。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)
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