国立大疑獄 学長ら捜査 民主党幹部の癒着究明 教育施設大型事業 汚職撲滅委

 2008―11年、全国各地の国立大学18校が実施した教育施設事業(総額約6千億ルピア=約50億円)で、うち16校が事業受注への便宜を求めて国会議員を贈賄した疑いが浮上している。ユドヨノ大統領の出身母体である民主党の幹部が関与した一連の汚職事件の一つで、独立捜査機関・汚職撲滅委員会(KPK)は、国会議員や各大学学長の事情聴取に着手、予算争奪戦を繰り広げる国立大と国会を舞台にした疑獄事件の全容究明を進めている。

 会計検査院(BPK)によると、教育施設事業を実施した18校のうち16校が、総事業予算の約10分の1に当たる681億2千万ルピアと10万8千ドル(計約5億7千万円)の損害を国家に与えた疑いがある。
 国立大は汚職のほか、事務手続きや予算の非効率的運用などで、国会に総額6385億4千万ルピア(53億8千万円)の損害を与えたと推計している。
 KPKの捜査で、事業予算を取り付ける見返りとして、各国立大が予算の一部を国会議員に渡したとされ、民主党副幹事長のアンジェリナ・ソンダク容疑者は、国会第10委員会(教育、観光、スポーツ)委員として、三つの国立大学から計55億ルピアの賄賂を受領したとみられる。
 KPKは同容疑者の捜査に絡み、国立大の予算審議を担当した議員や各大学学長の事情聴取を開始。ほかの国会議員や大学関係者が関与しているとみて捜査を進めている。

■16国立大学が関与
 事件に関与した疑いが持たれている国立大は、スリウィジャヤ大(南スマトラ州パレンバン、事業総額750億ルピア)、スルタン・アグン・ティルタヤサ大(バンテン州セラン、同500億ルピア)、ジャカルタ国立大(同450億ルピア)、11月10日工科大(東ジャワ州スラバヤ、同)のほか、3校がそれぞれ400億ルピア、1校が350億ルピア、7校がそれぞれ300億ルピア、1校が200億ルピアの事業予算を受領した。
 モハンマド・ヌー教育文化相は、国立大の事業予算拠出の諸手続について説明。各大学はそれぞれ活動計画を立案し、高等教育総局の審査を経て、予算配分権を持つ国会に提出。国会予算を確定した後、大蔵省が各国立大に直接拠出する。
 予算については、教育文化省監察官や金融開発監査院(BPKP)が手続きの各段階で検査しており、予算の水増し請求が行われた場合、容易に発覚すると強調した。
 スラバヤ工科大(ITS)の元学長でもある同相は「公共事業省が購入物品の単体価格などを定めており、私の経験から考えても水増し請求することは困難だ」との見解を表明。各学長に説明を求めるとともに、KPKの捜査に協力していく姿勢を示した。
 政権弱体化を引き起こしている民主党幹部が関与した一連の大型汚職事件は、同党の元幹部ムハンマド・ナザルディン被告(一審で禁固4年半)の内部告発が発端。これまで南スマトラ州パレンバンのSEAゲーム(東南アジア選手権大会)選手宿舎建設事業、西ジャワ州スントゥールのハンバラン競技場建設事業の捜査が行われ、ユドヨノ大統領の側近らに矛先が向けられている。

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