食卓のマルチプレーヤー 「えびせん」 クルプックの奥深さ
インドネシア全国津々浦々、「特産品」として売られているお土産のひとつが、いわゆる「インドネシアのえびせん」と呼ばれることが多い揚げせんべい「クルプック」です。ジャカルタ郊外でもお土産店街道で大量のせんべいがぶら下がった店舗が軒を連ねている光景などに出会えることがあり、「どんだけ好きなん?」と心の中で突っ込んだことがある人は恐らくひとりやふたりではないはずです。今月のおすすめ観光情報は、バリバリと元気な音を立てて食べるインドネシア各地の揚げせんべい「クルプック」にあやかりながら、国内旅行再開祈願とまいります。
クルプックで有名な場所として真っ先に思いつくのはバンカ・ブリトゥン。インドネシアの地図で見ると、スマトラ島とカリマンタン島の間に浮かぶ、ふたつの島で、西側の細長い方がバンカ島、東側の丸い方がブリトゥン島です。ふたつの島の周囲にはいくつもの小さな島々があり、ブリトゥン島観光では小舟で島めぐりをするアイランドホッピングが人気です。冒頭でクルプックのことを「えびせん」と呼ばれていると書きましたが、ブリトゥン島のお土産店には「イカせん」「さかなせん」が並び、ジャカルタのスーパーで見つけたバンカ島のクルプックも主な原材料がイカです。
生粋の(?)「えびせん」ならば東ジャワ製造のものなどが有名で、家庭で揚げる用の乾燥えびせんはお土産用にも大活躍します。インドネシア人の友達いわく、エビは原価が高いから……とのこと。そう言えば、以前乗ったインドネシア国鉄のラグジュエリークラスでふるまわれた車内食にはしっかりとエビの味がする「えびせん」が入っていました。さり気なく高級感をアピールしていたのだとすればさすがです(笑)
カリマンタン島、サマリンダ産のクルプックも見つけました。サマリンダは東カリマンタン州を流れる全長980キロの大河「マハカム川」流域の秘境をめぐるマハカム川クルーズの拠点になる町です。原料となっているのは「イカン・ピピー」という淡水魚。パッケージに描かれたナイフのような木の葉のような美しい流線形のこのお魚は日本には生息していないので味も気になりますし、話題作りにも面白そうですね。
インドネシアの食事に欠かせないクルプック。メインディッシュや地方が異なれば一緒に食べるクルプックの種類も変わるなど、なかなか奥も深いようです。美味しいだけではなく、食事のボリュームも増え、テーブルにあるだけでインスタ映え効果ももたらすような、ひとつで二役も三役も演じるマルチプレーヤーでもあります。そもそも日本人にはご飯とおせんべいを一緒に食べる食習慣はありませんが、インドネシア各地をめぐってご当地料理と一緒に特産のクルプックを楽しむ旅もいいかも知れません。目指すは世界初の「クルプック・ソムリエ」……(?)。皆さまもぜひご一緒にいかがでしょうか。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)
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