5項目の省エネ策発表 財政赤字拡大の抑制目指す 大統領がテレビ演説
国際原油価格の高騰などで、石油燃料向け補助金が増大し、財政赤字の拡大が懸念される中、ユドヨノ大統領は二十九日夜、国民向けにテレビ演説を行い、エネルギー節約の対策を発表した。ユドヨノ政権は四月に燃料値上げを予定していたが、値上げに反対するデモが大荒れとなり一時凍結を決定。その後、同月に「国家節約運動」の構想を打ち出しており、今回はその具体案となるもの。補助金のさらなる膨張を食い止めようと、大統領が自ら問題解決に向けた姿勢を示した形だが、それぞれの案についての効果を疑問視する意見も上がりそうだ。
ユドヨノ大統領は同日、ジャカルタの大統領官邸で、エネルギーに関する閣議を主宰。閣議後、閣僚や国家経済委員会のメンバーらが出席する中、テレビを通じ、国民に向け演説した。
エネルギー節約策として、大統領は(1)給油所における燃料供給システムの管理(2)中央・地方政府機関・公営企業の自動車の補助金燃料使用禁止(3)農園・鉱業用自動車への補助金燃料販売禁止(4)輸送機関の石油燃料からガス燃料への使用転換促進(5)中央・地方政府機関・公営企業の電力・水道節約―の五項目を提示。
給油所の管理では、ITを活用し、購入者のガソリン使用量のデータを取ることなどを例として挙げた。ガス燃料使用促進策では、年内に三十三カ所の給ガス所を新設するほか、第一段階として、ガソリン車に搭載し、ガス駆動化するコンバーター・キット一万五千台を公共輸送機関に配布するとの意向を示した。
補助金燃料使用禁止対象車両については、ステッカーを貼って判別し、石油・ガス下流部門調整機関(BPHミガス)や警察、地方自治体などが監視をするとしている。
節電と節水について、大統領は「今回と同じような状況に直面した二〇〇八年から〇九年にかけて行った省エネ運動は十分な効果を上げた」と説明した。
■国産電気自動車開発も
また、低燃費の自動車利用促進として、ハイブリッド車の促進を挙げたほか、中長期的には、国産電気自動車(EV)の商業化も目指し、優遇措置なども講じていく方針を示した。
省エネ促進を呼び掛ける一方、大統領はガスの国内供給割当を増やしていく方針を表明。国営石油・ガス会社プルタミナに対し、原油調達の効率化や産出量の引き上げに向けた開発の促進を求めた。
国営電力会社PLNに対しては、石油燃料を用いた発電所の新規建設を行わないように命じ、国営ガス会社PGNにはガスの供給インフラの早急な拡大や整備を指示した。