ヌサンタラめぐりの旅へ インドネシア国立博物館 11日まで特別展
2021年を迎えました。本来であれば自然・文化・歴史などを満喫すべくインドネシア国内の旅行を楽しみたいところ、ジャカルタでは「大規模社会的制限(PSBB)」が継続中です。そこで今回のおすすめ観光情報は首都ジャカルタの真ん中、インドネシア国立博物館でのヌサンタラ(列島)めぐりの旅へでかけましょう。
独立記念塔「モナス」がそびえる独立記念公園の西側に位置するインドネシア国立博物館。白亜の建物が1862年に建てられた本館、隣の近代的な建物が2007年に新設された新館です。正面に建つ象のブロンズ像は友好の証として1871年にタイ(当時の名称シャム)より贈られた物、別名「ミュージアム・ガジャ(象博物館)」の由来にもなっています。
本館のエントランスから入ると、まず目を奪われるのは中庭までびっしりと並ぶ石像。仏様や御馴染みのガネーシャなどのコレクションは見応えたっぷりです。また、別館では1月11日まで旧統治国オランダから返還された美術品の特別展が開催されています。ではその中の一部を紹介いたしましょう。
◆北スマトラ・バタック族の写本
祈祷師による伝統魔術への対処法と防御策が書かれています。バタック族はかつて首狩り族としても知られ、彼らの居住地域のひとつであるトバ湖に浮かぶサモシール島には現在も石の首斬り台が残っていて観光の目玉のひとつになっています。
◆北スラウェシの織物
バナナの繊維を含む混合素材で織り上げられた繊細な織物。のれんや部屋の仕切り、テーブルクロスなどに使用されていたものです。
◆マジャパヒト時代のヤシの葉の写本≪ジャワ語≫
ワヤン・クリットやジャワ宮廷歌舞劇の演目にもなっている英雄ダマール・ウラン物語、吉日・凶日などを占うパウコンと呼ばれる暦が書かれています。
◆南スマトラ・パレンバンの木製調度品
蓮の花を模した形は仏教と中国文化の影響を受けたもの。巧妙な金の色使いや図柄はパレンバン特産のソンケットという錦糸を使った縫取織風にも見えとても豪華です。
◆スンバ島の絣の織物、イカット
ヒンギーと呼ばれるこの種類は男性貴族の伝統衣装として着用された物なのだそうです。モチーフに描かれているのは生命のシンボルとされる動植物など。スンバ島のイカットは現在でもゲドッと呼ばれる伝統的な手織り機で1枚1枚丁寧に織り上げられていて、芸術品としても日用品としても世界中に愛好家がいます。
さて、別館の常設展には2003年、フローレス島で発見された人骨、後日ホモ・フロレシエンシス原人と名付けられた化石のレプリカが展示されています。問題はその小ささ。そのサイズから推測すると成人でも身長は1メートルほどということで、ホモ・フロレシエンシス原人はこれまで信じられていた人類の進化の常識を覆すものだと様々な仮説、新説が飛び交ったのだそうです。
そんな話題のホモ・フロレシエンシス原人の頭蓋骨。小さい、小さいとは聞いていたものの、実際に見てみて本当にビックリ。両手で包んで「はい、おかわり」と差し出すお茶碗くらいの小ささです。この人たちが大昔この地球上で生きていたのだと思うと、なんだか愛おしくさえなってきます。
そうです。太古の昔から地球上では数々の生物が幾多の難局に立ち向かい乗り越えてきました。この小さなホモ・フロレシエンシス原人の頭蓋骨は、これからも進化を続けなければならない現代人も新型コロナウイルスなんかに負けている場合ではないぞと力強いエールと生命力を送ってくれているような気がしました。21年初頭、皆さまもぜひインドネシア国立博物館を訪れて次のインドネシア国内旅行の予習と新たな年に向けたパワーチャージをしてみてください。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)
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