ソロ川の恵み、バティックの故郷 ラウェヤン地区 500年の歴史

 中部ジャワのラウ山から注ぎ、はるかスラバヤ西方のジャワ海へ流れるソロ川。その清く穏やかな流れを「わが心の母」と歌った「ブンガワン・ソロ」は、美空ひばりにもカバーされ、ご存知の方も多いはず。今回は、そんなソロ川の支流にたたずむ、バティックの故郷「ラウェヤン」を訪れた。

 ソロ市の南東部に位置するラウェヤン地区は、その裏側を流れるソロ川の支流の豊富な水源を生かし、バティック(ろうけつ染め)の製作で栄えた。その歴史は16世紀までさかのぼり、良質なラウェヤン地区のバティックは、マタラム王国の王都、スラカルタ(ソロ)に拠点を置く商人たちに愛されたという。
 ラウェヤンは4つのカンプン(集落)からなり、地区内には無数の工房がひしめき合う。その一つで、ひときわ奥まった路地の先に構えた工房「Batik Mahakota Laweyan」を訪れた。
 この工房は手染めバティックの直営店であり、同時にバティック製作体験(要予約)なども受け付けている。ギャラリーはバティックで染め上げたコーランや、ワヤン・ベベル絵巻がずらり。その精緻な造形は、時が過ぎるのを忘れさせ、いつまでも眺めていたくなる。
 大量生産が可能なプリント式のバティックに押され、手書きのバティック製作は長らく下火の状態に追あったが、近年の経済成長でその価値が見直され、活気を取り戻しつつある。
 ここラウェヤンも風情ある昔ながらの工房に加え、若者向けのブティック風の店舗や、お洒落なカフェも建設が進み、新旧混ざった顔を覗かせる。
 それでも、ラウェヤン地区を変わらず流れているのは、古都スラカルタのゆったりとした時間。心の母なる川の流れが、優しく旅人を受け入れてくれる。(高地伸幸、長谷川周人)

◇Batik Mahkota Leweyan
電話 0271・712・276
ワッツアップ 0812・2801・6356
住所 Sayangan Kulon No.9, Laweyan,   
   Kec. Laweyan, Kota Surakarta, Jawa Tengah 57148

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