もうひとつの空の玄関口 生きた博物館 ハリム空港

 東京の玄関口に羽田空港と成田空港があるように、ジャカルタにもスカルノハッタ国際空港とハリム空港があります。ハリム空港は、高速道路や鉄道路線からもアクセスしやすい東ジャカルタの好立地にあり、コロナ禍以前にはスカルノハッタ国際空港の旅客許容量オーバーにより、分散化された発着便受け入れなどで設備も格段に改善されたジャカルタのもうひとつの空港です。今回のおすすめ観光情報はジャカルタ在住年数が長い方でも利用したことがある方は比較的少ない「穴場」空港、ハリム空港を紹介します。

 通称ハリム空港、現在の正式名ハリム・プルダナクスマ国際空港は、17世紀に当時オランダ人の個人所有地だったチリリタン地区が飛行場として使用されたのが始まりだと言われています。1924年、当時は地名にちなんでチリリタン空港と呼ばれ、オランダ東インド会社によるアムステルダムからの飛行機が初国際線として着陸したのだそうです。戦後となる50年にインドネシアに正式に返還されるとすぐにインドネシア空軍所有の空港となり、52年にはインドネシアの飛行士であり、47年に殉職し国家英雄となったアブドゥル・ハリム・プルダナクスマ空軍少将の名を取ってハリム・プルダナクスマ空軍基地と改名。その後、74年に現在の名前であるハリム・プルダナクスマ国際空港として運営が始まりました。
 85年にスカルノハッタ国際空港が開港してジャカルタのメイン空港の座は譲りましたが、それまでは、現在は無くなってしまった国内線空港、クマヨラン空港と並んでジャカルタを代表する空港として数々の歴史的場面を支えてきた重要な空港なのです。現在も空軍基地に隣接し軍事目的のほか、民間機の発着、大統領特別機や各国VIPのチャーター便発着などにも利用されています。
 ハリム空港を利用するメリットというとまず第一にジャカルタの各方面から近いこと。早朝や深夜の出発・帰着には特にそのありがたみが実感できます。第二にコンパクトなサイズ。搭乗ゲートや待合ロビーもざっと見渡すほどの広さなので、空港内で歩き疲れたり、迷子になることもまずありません。第三に乗り物好きにはたまらない飛行機との接近。搭乗と降機の際にはブリッジを使用しない昔ながらの方式なので、かっこいい飛行機を間近で愛でながら記念写真撮影も可能です。
 コロナ禍の今、ハリム空港発着便も徐々に復活しバティック航空、シティリンクなどが安全対策のもと運航しています。飲食店などの一部は休業しているところもありますが、改装前のひっそりとしたターミナルを知っている者としては、キラキラと十分過ぎる空港設備。随所に歴史を伝える記念碑や写真の展示もあり、ジャカルタ史の勉強にもなる生きた博物館としても一度は利用してみる価値があります。
 バリ島のワーケーション、ジョグジャカルタの遺跡めぐり、ふらっとバンドン…。どうぞ皆様も次のご旅行の際にはハリム空港発着便をご検討されてみてください。(日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)


◇PT. JABATO INTERNATIONAL 
電話  021-520-2091
メール sonoko_mizugaki@jabatojkt.com

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