水上から見えるリアルな生活 船と暮らす人々 ㊤

 断食月が明けます。「本当なら今頃は日本に一時帰国していたのに」と思いながら帰国を断念された方、また予想外の緊急帰国となったままインドネシアに戻る見込みが立たない方もいるという、かつてないレバラン(断食月明け大祭)が始まります。インドネシアの人々も異例の帰省禁止令に戸惑いながらも従わざるを得ないレバラン。これから一体どうなるのか。私たちの生活、仕事、人生、旅……。私たちは今、この宇宙に浮かぶ地球という巨大な船に乗る運命共同体。今回のおすすめ観光情報は、心配も願いも尽きない中、新型コロナウイルス流行の終息を祈願しつつ、インドネシア各地で船とまつわり生活する人々と様々な船の形を紹介します。

 2万を超えると言われる島々からなるインドネシアでは船は欠かせない交通輸送手段です。海だけではなく、川や湿地帯、マングローブの森など複雑な地理条件を持つ場所でも船は生活の一部として利用されています。石炭、原油、木材などを運ぶ巨大タンカーからオール一本で操作するカヌーのような船まで、インドネシアと船は切っても切り離せない深いつながりがあるのです。
 インドネシア国内旅行ではそうしたこの国の豊富な資源や経済の成り立ちを肌で知ることができたり、現地を訪れなければ決してわからなかった地元の人達のリアルな生活を垣間見たり「船」を通じて様々な体験をすることができます。旅の様々な場面で観光の裏の立役者となってくれるもののひとつが船なのです。
■「千の川の街」で暮らす
 水上マーケットが街の風物詩となり、観光客にも人気のカリマンタン島、バンジャルマシン。別名、「千の川の街」と呼ばれるほど多くの川が流れる複雑な土地柄で、地上交通の発達よりも先に大切な生活インフラとして利用され続けてきたのが船です。川沿いに暮らす人々にとって宅配サービスアプリなど使わずとも、やってくるのは伝統的な小船に乗ったデリバリー? 野菜、果物、朝ごはんに日用品……。お家の軒先まで何でも届けてくれる至れり尽くせりのサービスです。
■手作りする木造船
 バンジャルマシンの水上交通を支える船を手作りする集落。見事な力仕事と繊細な手作業があいまって惚れ惚れする仕事さばきです。この村の子供たちはこうして働く大人を見て育ちます。
■自慢のスイカ運搬船
 南カリマンタンの湿地帯では、乾季の間干上がった土地を使い、スイカの生産が行われています。自然に逆らわず、出来る時に出来るものを作るサステイナブル・アグリカルチャーとでも名付けましょうか。チャーターボートで立ち寄り、「最高に甘い食べ頃を!」との注文に、ドヤ顔で選んでくれたスイカは甘くみずみずしい絶品。生涯忘れることができないスイカと、お父さん達の満面の笑みで手を振り見送ってくれた姿に感動しました。
■マグロ漁を支える船
 日々の漁に欠かせない「アメンボ型」の釣り船。マグロが名産のスラウェシ島ゴロンタロにあるこの海岸では、新鮮な獲れたてのマグロ料理を食べることができます。インドネシア滞在中にマグロを食べる目的だけのために訪れても後悔はしません。(㊦に続く) (日本旅行インドネシア 水柿その子 写真も)

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