夕日と海、のんびり 地震から1年、活気戻るリゾート ギリアイル
ロンボク島沖のギリ3島。バリ島にも近く、人気が高まっていたリゾートだが、昨年8月の地震で大きな被害を受けた。あれから1年。まだ再建中の施設もあるが、にぎわいが戻ってきたという。約1年ぶりに島へと向かった。
トラワンガン、メノ、アイルからなる三つのギリ島。今回は最もロンボク島に近いギリアイルを訪ねた。「パーティーアイランド」と呼ばれるトラワンガンより落ち着いていて、メノよりもにぎやかとされる島だ。
前回来たのは地震の翌月。島のあちこちで崩れた建物やがれきを目にした。多くの施設が一時休業を余儀なくされ、観光客も数えるほどだった。
ロンボク島のバンサル港からパブリックボートに乗船。40人乗りのボートには、地元の人々に加え、大きなバックパックやサーフボードを手にした外国人観光客も乗り込んだ。
ギリ3島へのアクセスはバリ島からのスピードボートが主流だ。西ヌサトゥンガラ州観光局によれば、地震後は一時、1日7便まで減ったが、現在は22便が運航している。
バンサル港からギリアイルへはわずか15分。到着すると、メーン通りは外国人でにぎわい、目の前のカフェは満席状態。思わずほっとした。
■レジャーも田舎も
ギリアイルは歩いても一周できるほどの小さな島。移動手段は馬車か自転車だ。自転車を借り、島を回ることにした。
小さな島と言っても小学校やモスクもあり、島民もいる。にぎやかなビーチから少し離れれば、民家や庶民的な食堂に出くわし、のんびりした田舎の風景も残っている。島の南側では、約200室を備える島最大のホテルの解体が進み、作業員たちが再建工事に汗を流していた。
「シュノーケリングツアーはどう?」。旅行案内所のガナさん(40)とジュンさん(30)が声をかけてきた。
「お客さんは例年の7割くらい」「地震の後は心配したけどなんとかなりそう」と2人は言う。「ダイビングにサイクリング、釣りもできる。十分楽しめるよ」
「サンセットを見た方がいい」と勧められ、島の西側へ向かった。午後6時前、海岸のカフェやバーにはすでにたくさんの人がいる。しばらくすると、オレンジ色の夕日に照らされ、海がきらきらと輝いた。
■かやぶきのバンガロー
宿は島の真ん中あたりにあるバンガロー「オールドビレッジ」にお世話になった。ギリでは外国人経営の宿が増えている。オールドビレッジは服部良太さん(46)が4年前に開いた。
島では地震で多くの建物が壊れたが、樹齢80~100年のヤシの木を使うなど「丈夫さにこだわった」というバンガローは、3度の大地震にも耐え無事だった。緑に囲まれたかやぶき屋根の宿は、エアコンを使わずにすむほど涼しく居心地が良い。
服部さんは20年前、バックパッカーとして訪れた島に魅せられたという。今は450軒の宿泊施設があるというこの島も、当時はバックパッカー向けの安宿が30軒程度。「海はとんでもなくきれいで、ものすごい熱帯魚の集まりが見えたんです」。今は昔ほどでは……と続けたが、透き通った青色の海は十分に美しかった。
ギリアイルを含む3島への観光客は欧米人が中心。日本からのお客さんはまだ少ないという。海のレジャーだけでなく、クッキングスクールにヨガクラス、おしゃれな雑貨店などもあり、家族や女性同士でも楽しめそう。バリ島やロンボク島から少し足を延ばし、訪れてみては。(木村綾、写真も)