スマトラ鉄道の最西端 知る人ぞ知る山里 ルブックリンガウ
ジャワ島の約3・5倍の面積を持つスマトラ島。これまでなかなか容易には行くことができなかった地方都市も航空路線の拡大などで格段に行きやすくなっています。今回のおすすめ観光情報はジャカルタからの就航便数も増えて新空港ターミナルにも期待が高まる、日本人でもある「マニア」の間では知る人ぞ知る街、スマトラ島の山間、南スマトラ州ルブックリンガウを紹介します。
ルブックリンガウは、スマトラ島の西側海岸に面した長細い形をしたブンクル州と隣接する南スマトラ州側の州境にあたる街です。ブンクル州の州都ブンクル市との距離は約140キロ、高い山脈を越えるため車で3時間半から4時間という時間がかかります。そんなルブックリンガウ、実はスマトラ鉄道の最西端の拠点駅となる街で南スマトラ州都パレンバンまで305キロの鉄道が運行しています。そんなことからインドネシア鉄道「乗りつぶし」を目指す鉄道ファンには外すことのできない街として知られているのです。
市内観光のシンボルは空港からわずか15分程度で行くことのできるスラップの丘(ブキットスラップ、Bukit Sulap)。3千メートル級の山々も珍しくないインドネシアにおいてはお茶碗をひっくり返したようなかわいいサイズのそれは確かに「山」と呼ぶには小さく感じますが、マウンテンバイクの国際大会の会場にもなっている立派な山。休日には地元っ子たちもトレッキングに訪れるほか、外国人バックパッカーなども時々やってくるそうです。とても市街地にあるとは思えない山中では摩訶不思議な形をした葉っぱや昆虫を発見できたり、今回の訪問時にはスターフルーツの木にたくさんの果実が実っていて辺り一帯に甘い香りを放出していたり、そのうえ山頂から臨む市街地の見晴らしも素晴らしく、ジャカルタの街の真ん中にもこんな「丘」があったらな、と思ってしまうほどの自然にあふれています。
2016年、この丘を観光客誘致の目玉にしようと急勾配を駆け上る登山列車が開通しました。開通当初は家族連れなどを中心に大勢の観光客が集まったのだそうですが、あいにく昨年末から運休中とのこと。今回の訪問時には長いレールと停車したままの車両を見ることができました。「改修ができ次第運行を再開したいね」と管理事務所の職員。再開を心待ちにするところです。
ブキットスラップを降りると人々の活気と優しさがあふれる田舎町。路上では木の実や種を乾燥させて伝統薬を作っているお店、よろずやさんの軒先にはパチパチと時折火の粉を舞い上がらせながら炭火で手作りおせんべいを焼く女性たち。「やってみる?」のお言葉に挑戦させてもらうと意外に難しく要領が必要なのがわかりました。
今月末には遂にジャカルタでインドネシア初のMRTが開通する予定です。国内外での注目が集まる中、 インドネシアの鉄道に関心を持つ人がさらに増えるかもしれません。皆さまもこのルブックリンガウを拠点とするスマトラ鉄道の人気が爆発する前にぜひ訪れてちょっとした自慢にしてみてはいかがでしょうか。
(産経海外ファミリークラブジャカルタ、水柿その子、写真も)
◇スマトラ鉄道体験・最西端ルブックリンガウの旅
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