「庶民派リーダーに幻滅」 ジョコウィ支持者「白票」も 本名純教授 大統領選展望

 立命館大学国際関係学部の本名純教授は13日、三菱UFJ銀行ジャカルタ支店主催の経済講演会で、約500人の来場者を前に、4月に迫った大統領選の展望を語った。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領について「再選の可能性が非常に高い」としながらも、かつての「庶民派リーダー」としての魅力は薄れ、支持者が「幻滅」している現状を指摘。今回の選挙では「白票や無効票が増えるのではないか」と分析した。
 大統領選は2014年の前回選と同じ、ジョコウィ氏とプラボウォ氏による一騎打ち。エリート軍人だったプラボウォ氏は前回、「強いリーダーシップとナショナリズム」を売りに「庶民派リーダー」ジョコウィ氏に挑んだが、大統領として4年強の実績があるジョコウィ氏相手に再び同じ戦い方はできないとした。
 そこでプラボウォ陣営が目を付けたのがイスラムの「保守化」。イスラム擁護戦線(FPI)に代表される保守勢力は、17年のジャカルタ特別州知事選で華人・キリスト教徒のアホック氏を敗北させたことで勢いづき、異教徒のアホック氏を支持するジョコウィ氏の交代を主張。この勢力が今回のプラボウォ組のキャンペーンの軸になっていると見る。
 ジョコウィ氏は4年間最優先で取り組んできたインフラ開発の成果をアピールするが、プラボウォ陣営は「外資依存」「外国勢力の真の狙いはイスラム弱体化」といった「陰謀説」でこれを批判。「愛国主義」や「イスラム」を持ち出し支持拡大を図っている。

■縮まらない差
 こうした戦いが繰り広げられる中、主要な世論調査では昨年9月の選挙戦開始以来ジョコウィ組が50~54%、プラボウォ組が30~35%の支持率を維持し、差が縮まっていないことに着目。両陣営共に「アピールが有権者に響いていない」と指摘した。
 ジョコウィ陣営は「イスラム勢力によるジョコウィ攻撃の防波堤」として宗教指導者のマアルフ・アミン氏を副大統領候補に起用し、エリック・トヒル氏(マハカグループ)、ハリー・タヌ氏(MNCグループ)、スルヤ・パロ氏(メディアグループ)ら有力メディアの所有者を陣営に迎え入れるなど、「イスラム」や「メディア」の取り込みを重視している。だがこうした対策は「囲い込み戦略」に過ぎず、「浮動票の有権者に響くキャンペーンを軽視している」と分析する。
 一方のプラボウォ陣営も、前回よりも約半年も長い選挙戦の資金集めに苦戦した結果、「強い地盤であるイスラム保守勢力だけに訴えかけるキャンペーンになっている」と指摘した。

■「架空候補」の意味
 また、「14年の選挙でジョコウィに期待した支持者の多くが幻滅を感じている」とも言及。家具屋出身の「庶民派リーダー」として台頭したジョコウィ氏の支持者には無党派層が多かったが、インフラ開発に伴う強制立ち退きや、アホック氏を失脚させた張本人であるマアルフ氏の起用、少数派迫害に目をつぶったことなどに幻滅し、「白票・無効票を投じることが見込まれる」とした。
 実際に、今回の選挙戦では「3組目」の候補として「ディルド組」なる架空候補が出現、ネット上で話題を集めている。「ジョコウィもプラボウォも嫌」という意思表示で、架空候補に投票する人も現れるのではと予測した。(木村綾、写真も)

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