サテ・モビルをご覧あれ 中部スラウェシ州パル市 車両100台展示 島固有種のマレオ鳥も

 サテと言えば、インドネシアの串焼き。来イしたての時期にナシゴレンの次に覚えやすいインドネシア料理の名前だ。中部スラウェシ州パル市西部にあるカヌナの丘にはサテ・アヤム(鶏)やサテ・カンビン(ヤギ)だけでなく、その名も「サテ・モビル」なるものが存在する。モビルは自動車のこと。乗用車7台が串刺しにされた姿はなんともユニークで、観光の目玉になる可能性を秘めている。
 2018年9月28日の地震による液状化現象で地滑りが起きた国営住宅地バラロアに近い、パル市西パル郡カボネナのウウェヌンプ通りを山の方へ登っていくと「ウィサタ・サテ・モビル」の看板が右手に見えてくる。観光地らしく入場料が取られ、1人1万ルピア。敷地内へ進むと、眼前にカラフルなサテ・モビルが現れた。
 「乗り物の博物館にしたかったんだ」。オーナーのハジ・タジュディンさん(63)は話す。16年12月の開業までは、メランチ材やニヤトー材の木材輸出業や不動産業のかたわら、中古車販売を手がけており、約20ヘクタールの敷地内に四輪60台、二輪30台、その他10台の計100台の車両が展示されている。
 車をサテのように串刺しにした理由を尋ねると「職業柄、壊れた車を集めていたら、知人に何をするんだと聞かれ、サテが好きだから車でサテを作っちゃおう、ということになったんだ」と笑う。車両が展示されている脇にはテーブルもあり、料理やドリンクも楽しめる。客席数は全体で500席。
 敷地内には、スラウェシ島だけに生息する飛べない鳥「マレオ」(和名・セレベスツカツクリ)と小さな水牛「アノア」も飼育されている。小さなプールや製作途中のヘリコプターと飛行機の展示物近くには、鹿やアヒルなどもおり、小さな動物園のよう。そしてこのそばにも、こちらは黄色だけのサテ・モビルがそびえ立つ。
 売店近くの池の周りと、そこから少し下ったところにはテラス席があり、パル市と湾が一望できる。見晴らしのいいテーブルからの景色のつまみにもってこいのサテ料理「サテ・ブキット・インダ」も。こちらは牛かヤギ肉で安心して食べられる。
 どうせなら夜景も楽しみたいという要望に応え、列車の客車に見立てた宿泊可能なビラもある。12棟あり、宿泊費は1棟(最大4~5人)20万ルピア。
 震災では被害はほとんどなかった。それでも影響は大きく、平均1日200人訪れていた客足は半分以下に落ち込み、最大千人が訪れていた休日が遠い過去に思える日もある。年末は2週間前から宿泊予約が入ったが、18年はゼロ。
 開業前の土地選びで、日本と台湾の知人からお墨付きをもらった丈夫な土地。タジュディンさんは「安心してきてほしい。パルの復興していく様子を見に来てください。ここからはパルが一望できるから」と語りかける。
 震災後で経済的に厳しい状況にあるが、観光客を呼び込むため営業を続けていく。(中島昭浩、写真も)

店名 Wisata Sate Mobil Kafe & Resto
住所 Jl. Uwenumpu, Donggala Kodi, Palu Barat, Kota Palu
開店 午前9時~午後11時
☎  0823・2846・4646

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