展望台、3時間待ち 地方からの観光客増加 連休最終日のモナス
聖金曜日と土日の三連休最終日となった八日、中央ジャカルタの独立記念塔(モナス)広場は、ジャカルタ近郊からの観光客のほか、地方在住者でにぎわった。モナス展望台へ上るエスカレーターの前には五百人以上が並び、三時間以上待つ人も。地方在住者の所得水準が高まり、バスや電車、飛行機に乗って遠方から訪れるインドネシア人や華人が増えているようだ。
「人生で一度は訪れたかった場所だ」。三時間立ちっぱなしで順番を待っていた東ジャワ州バニュワンギ出身のアシピンさん(五一)は、息子をなでながら笑顔で語った。スカルノ初代大統領の提案で一九七五年に完成したモナス。高さ百三十七メートルの塔頂上からは、首都中心部を一望でき、「田舎の友人たちにもこの光景を見せてあげたい」と語った。
塔へつながるチケット売り場近くで土産物や記念写真を売るワヒドさん(四九)は「一九九〇年代、二〇〇〇年代初めには無かったにぎわい。地方からの観光バスも増えた」と語る。観光客に話を聞くと、西ジャワ州ボゴールやバンドン、ジャカルタ郊外のほか、東ジャワ州スラバヤやスマトラ島などから連休を利用して訪れた人たちも多かった。
二〇一一年、インドネシアの経済成長率(GDP=国内総生産=の伸び率)は六・五%を記録。一人当たりのGDPは前年比一七・六%増となる三五四二・九ドルに上昇した。依然として地域間格差は大きいが、地方在住者の所得が伸びれば、首都への観光客もさらに増えそうだ。
■市民の憩いの場 「もう満席だよ。次のバスを待ってください」。広場内を走行する数台の「観光列車」。首都中心部にあり、自由に出入りできるスポットとして人気の広場内をゆったりと観覧でき、待合場所は家族連れで混雑した。
西ジャワ州ブカシから訪れた主婦のエミルさん(三八)は「子どもを自由に遊ばせる場所として最適」と笑顔で話す。整備された広場は首都圏では多くなく、連休のたびに家族で訪れているという。
凧(たこ)や綿あめなどの物売りが多く、たくさんの子どもたちがモナスのてっぺんへ向かって凧揚げを楽しんでいた。