平均5㍍の津波襲う パル東沿岸 3階に波しぶき跡
中央大理工学部の有川太郎教授は5日、中部スラウェシ州パル市の東部海岸線で、がれきが撤去されていない、ほぼ被災当時のままの3カ所で簡易測量し、「平均5メートルの津波が局地的に襲った」と驚いた。
レーザー距離計とメジャー、GPS計測器とノートを持ち、長袖長ズボン、ブーツに帽子姿。現場に入ると目ぼしい建物から「津波の痕跡」を探す。津波が通ってできる筋状の痕が最も確実。他には、壁や柵に引っかかった木、プラスチックボトルなど波しぶきの細かい跡、建物に引っかかった段ボールや衣類などを見つけると、その高さを測る。
気象庁(BMKG)調査員が事前に調べた高さ11・3メートルの痕跡を確かめるため、有川教授は北パル郡パントロアン、マンボロ、トンドなどで測量した。平均は5メートル。マンボロでは、2階ベランダに護岸用の石の破片、3階ベランダにスプラッシュ痕を見つけ、水面から地上までの距離などを計測し、津波が最大10・1メートルに達したと判断した。
地震発生から津波到着までの時間は、住民らから「5分以内」「直後」「同時」などの意見を聞いた。地滑りがパル市西海岸線やその先のドンガラ県で起き、その時間差で到着すれば被害状況も明確になる。海岸線から200メートル前後までほぼ全壊しているケースが多かった。
地滑り型地震と判断されれば、今後の津波警報システムは大きな変更を迫られる。有川教授は「なかなか(地滑りは)検知できない」と話す。地震、津波、地滑りが重なった災害の警報システムの必要性が問われそうだ。(中島昭浩、写真も)