「夢をありがとう」 侍ジャパン、悔し涙の銀
アジア大会野球決勝は1日、中央ジャカルタ区スナヤンのブンカルノ競技場内野球場で行われ、日本が韓国に0—3で敗れた。応援に訪れた在留邦人や野球少年からは、銀メダルに輝いた侍ジャパンに労いの言葉が相次いだ。石井章夫監督は「相手の応援がすごく多い中、現地の日本人の方の応援の声も届いていたし、現地の日本企業の方も選手側にサポートしてくれ、いい状態で大会に臨めた」と感謝、優勝できなかった悔しさをにじませた。
社会人チームで臨んでいる日本は1回、四球から満塁のピンチを招き、アン・チホンのヒットで2失点。先発の富山凌雅(トヨタ自動車)は1回途中で交代した。3回に決勝グループの試合で豪快にスタンドに運ばれたパク・ビョンホに、2試合連続のホームランを献上し3点目を許すと、その後も打線が沈黙、表彰式でも涙を飲んだ。
石井監督は「ランナーが出なかった。5回ノーアウトで送って1アウト2塁のチャンスがあったが、(得点できず)悔いが残る」と振り返る。全体的には相手データの分析が足りていなかったと反省点を語った。
決勝にはジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)リトルリーグ部の子どもたち30~40人が、午前中の練習後に観戦に駆けつけ、「ニッポン!」コールなどで、韓国の「テーハミングッ(大韓民国)!」に負けない大きな声援を送った。息子2人がマイナーとTボールに所属する駐在5年目の後藤克仁さんは「出足ちょっと硬めだったかもしれないが、全力のいいゲームをしてくれた。セカンドのファインプレーなど随所にいいプレーが見られた。子どもたちにはいい勉強になった」と話した。
リトルリーグ部の子どもたちはサインをもらうため、午後8時過ぎになっても会場出口で選手らの出待ちをしていた。選手らは子どもたちを見るとボールや帽子にサイン。後藤さんは「子どもたちに夢をありがとう」と今後の活躍を期待した。
日本代表には日本企業の現地法人からおにぎりや惣菜パン、飲料などが試合前に届けられ、石井監督は「ちょうど欲しい時に届けてくれ、とても助かった」と感謝した。(中島昭浩、写真も)