【国交樹立60周年】シーソーゲームの熱戦 FC東京対バヤンカラFC
JリーグのFC東京と国内リーグのリーガ1王者バヤンカラFCの親善試合が行われた、中央ジャカルタ区スナヤンのブンカルノ競技場メーンスタジアムは両チームのサポーターが詰めかけ、シーソーゲームの熱戦を楽しんだ。
スタジアムは試合開始3時間前の午後1時ごろ早くもにぎわい、周辺では渋滞も。バヤンカラFCは国家警察所有のチームで、警察官が約50人ずつバスで現地に到着し、そろいの黄色いポロシャツを身に付け、整列して点呼後、スタジアム入り。バヤンカラFCのサポーターらは開始前から太鼓をたたき、応援歌で盛り上がった。
完全アウェー状態で試合が始まると、わずか3分でFC東京の森重真人選手が先制。会場は一瞬あっけに取られ、バヤンカラFC選手へのブーイングの声が響いた。前半はそのまま1—0で終了した。
後半7分、バヤンカラFCにPKのチャンスが訪れ、デビッド・アパレシド・ダ・シヴァ選手が冷静に決め、会場は盛り上がった。さらに24分、シヴァ選手がペナルティーエリア内からシュート。ディフェンスに防がれたものの、こぼれ球をマリヌス選手が押し込み、バヤンカラFCが逆転に成功。客席のボルテージは最高潮に達した。
しかし直後の25分、途中出場した16歳の久保建英選手がボレーシュートを決め同点に追いつくと、一転してスタンドは静寂モード。
さらに39分、前田遼一選手の得点で逆転すると、今度はFC東京のサポーターらが大きく盛り上がった。アディショナルタイムの終了間際、久保選手がミドルシュートの追加点で突き放すと、バヤンカラFCからも歓声が上がるほどだった。
試合を観戦していた警察官のナサ・ディアウシャさん(25)は「久保の同点ゴールまでは勝利を確信していた。負けて悔しいが、将来有望な選手を見られてうれしい」と話した。
勝利の立役者となった久保選手はバルセロナ(スペイン)の下部組織でプレーした経験を持ち、昨年11月に史上3番目の年少記録となる16歳5カ月22日でのJ1リーグ初出場を果たした。
インドネシア国内での注目度も高く、試合後の会見でFC東京の長谷川健太監督は久保選手について「非凡な才能を秘めている」と評価。「将来日本を背負って立つ選手になれるようしっかりと育てていく」と話した。
一方でバヤンカラFCも23歳以下の選手6人を先発で起用。サイモン・マクメネミー監督は「インドネシアのサッカー界の未来のため」と意義を語った。(大野航太郎)