「健康」で富裕層狙う ユニークな商品を紹介 日本食商談会
拡大するインドネシアの中高所得者層を取り込もうと、日本の食品メーカー、商社十三社が参加して十六、十七日に南ジャカルタのホテル・ムリアで行われた日本食商談会には、二日間で三十社以上のバイヤーが訪れ、品質の高いユニークな日本の商品に目を見張った。
テーブルにはみそ、しょうゆ、お茶など定番の日本食品から、北海道産牛乳、パッケージに女の子の絵が描かれたお酒などユニークな商品が並ぶ。日本側は英語や通訳を交えて、身振り手振りで商品をアピールし、バイヤーは机から身を乗り出して、率直な意見や質問をぶつけた。
日本でぶなしめじのシェア三割を占めるホクト(本社・長野県)の経営戦略本部・海外戦略室の山本忠夫室長は、小さい傘をぎっしりつけた「ブナシメジ」、白いしめじ「ブナピー」のサンプルを配布し、商品の魅力を紹介。培地がすべて天然成分であることや、まったく人の手に触れられないですべて機械で作られる栽培工程の映像を流し、商品の安全性を強調した。
「常温保存で二週間後も問題なく食べられます。動脈硬化防止、免疫力向上効果もありますよ」と、山本室長。米国や台湾にはすでに工場を構え、近隣のシンガポールやマレーシアでも販売しているという。
富裕層や外国人が多く訪れる輸入食スーパー「ケムチックス」の調達担当、アグス・プルナワルマン氏は「化学薬品のにおいがしないため、安心して食べられる。価格は一パック二万ルピアから三万ルピアになりそうだが、品質に見合う」と語り、取引に前向きな姿勢を見せた。
十六種の天然素材を混ぜた健康茶「大阿蘇万能茶」を販売する村田園(本社・熊本県)は、バイヤーの中で注目を浴びたブランドの一つ。同社の池邊卓常務取締役は、バイヤーに飲みやすさを体感してもらい、効能などを説明した。高級スーパー「ランチマーケット」を運営するスプラ・ボガ・レスタリ社のハノコ・チトラハディ氏は「ブレンド茶はインドネシアにはまだほとんどない。健康志向が高まる富裕層の要望を満たせる」と、積極的だ。
■ 「ハラル」認証に意欲
ハラル(イスラムの法に沿った)商品の開発・導入を視野に入れる企業もみられた。
すでにインドネシアで販売網を持っているヤマサ醤油(本社・千葉県)国際部貿易課の鹿沼篤志主任は、複数のバイヤーとの商談を終え、「今まで出会えなかったバイヤーさんと話ができた」と、満足そうな表情を浮かべる。同時に、ハラルの需要が高まるのを感じ取ったと言い、日本の食材の本格的な浸透のためにも「ハラル製品の挑戦も検討している」と語った。
■ 「中東への輸出も支援」
商談会は、日本の農林水産省による輸出倍増サポート事業のマッチング対策(農林漁業者等向け商談会支援)の一環で、VOXトレーディング社が実施したもの。
会を取り仕切ったVOXトレーディング・インドネシア社の志賀正和代表取締役は「今後、日本のメーカーがインドネシアに進出した際、インドネシアでの製造・販売を手助けしたい。ハラル商品を作り、国内だけでなく中東などのイスラム諸国への輸出もしていってほしい」と力を込めた。