古代壁画に思いはせ トリックアートも 国立美術館で15日まで
中央ジャカルタ・ガンビル駅前の国立美術館(ナショナル・ギャラリー)で15日まで、インドネシア各地の古代壁画とアートを融合させた展示会「ウィンバ・カラ(画と時)」が開かれている。同美術館の敷地内には巨大なトリックアートも完成。専門家や芸術愛好家だけでなく、より幅広い人に、国内各地に残る古代壁画と考古学に関心を持ってほしいと企画された。
ウィンバは「画」、カラは「時」を意味する。キュレーターのリズキ・ザエラニさんは「企画者や芸術からはまず、古代壁画を理解するところから始まった。壁画の意味や考古学の専門的なデータを、現代アートと結びつけることは非常に難しかった」と振り返る。
展示会ではインドネシア各地の古代壁画の紹介にはじまり、8人の現代美術家が手がけた、手形や動物、人の壁画をモチーフにした絵画、動画や写真などの作品を楽しむことができる。
またトリックアートは、マグマが流れだす崖がデザインされたもの。5日には最終の仕上げが着々と進められていた。地面に突然、崖が現れたように見えるためか、訪れた人はアートの周りをおそるおそる歩いていた。
同展覧会はジャンビ州や東カリマンタン州、北マルク州の文化財保護局(BPCB)や教育文化省、インドネシア国立考古学研究センターなどが協力。
インドネシアでは世界最古である推定約4万年前の古代壁画が、南スラウェシ州マロス県で発見されているほか、同州や東カリマンタン州、スマトラ島などで、カルスト地帯の洞窟などから複数の手形のほか、人や動物を描いたものが次々と見つかっている。
展示会はA棟で開かれており、入場は無料。午前10時〜午後7時。また同館では毎週土曜の午後1時から、館内ツアーを実施している。(毛利春香、写真も)