会社や私生活に生かそう メンタルヘルスを学ぶ 日系企業幹部が勉強会
メンタルヘルスについて学び、自分の生活や家族、会社や仕事を見つめ直したい――。投資環境、労務管理、治安対策などインドネシア情勢について語り合う産業別懇談会(産別会)のメンバーで、日系企業の社長や取締役を務める男性5人がメンタルヘルス分科会を作って勉強を続けている。
カウンセラーの高崎美佳さんが講師を務めるメンタルヘルスの勉強会は2016年9月から始まり、3日に9回目を迎えた。これまでに「聞く力を育てる」「感情の神経回路を切り替える」「人間性知能を伸ばす」など、会社や仕事で活用できるメンタルヘルスの知識を中心に学んできた。
3日の勉強会のテーマは「身近な人を愛する」。高崎さんは、メンタルヘルスの問題はほとんどが身近な人との問題で、仕事での成功を持続して行くには夫婦関係の安定が大切と話す。また男女では脳の仕組みが違い、会話のイメージに違いがあるとしたうえで「自分の気持ちを言葉にして伝えることが大切。そして奥さんの話を聞くことも男の役割です」と語り、夫婦関係の回復のために実践できること、心がけるべきことを説明した。
さらに、妻の長所▽妻の好きなこと▽過去に相手にしてもらったこと▽今、相手にしてもらっていること▽してあげたいが、まだ実行していないこと▽相手との楽しい思い出▽良い関係になったら一緒にやりたいこと――を書き続けると「必ず気づきがある」とアドバイス。参加者も一緒に夫婦関係を振り返った。
参加した5人は夫婦関係だけでなく、「社員の体を気にする一方で、心が壊れやすいことに意識を持つ人は少ない。心の病気になった時にどうすればいいかわからない人も多くとても勉強になる」「これまでは朝礼で目標などを話していたが、一緒に仕事をしているという意識を持ち、感謝の気持ちを伝えるようにしたら社員も素直に喜んでくれた」「手を止めて社員の目を見てあいさつをするなど、意識が変わった」など勉強会を経てさまざまな気づきがあったと話す。
同会の発起人で、カーテンレールなどインテリア製品を取り扱うトーソー(本社・東京)の現地法人トーソー・インダストリー・インドネシア(TII)社の堀美彦社長は、特に管理職クラスの人材をコーチングする際、メンタルヘルスに必ず触れる必要があると話す。
社内の朝礼で心と体の関係を伝えるようになったといい「(社員が)自分たちのことを思ってくれているとこちらの気持ちが伝わる。今後は日本の本社でもメンタルヘルスを学ぶ研修を取り入れたい」と話した。(毛利春香、写真も)