白に囲まれて 表情を変える池 東ジャワ州マドゥラ島 ブキット・ジャディ
真っ白い崖や壁に囲まれた場所に、青や緑色に色を変える池がある。東ジャワ州マドゥラ島バンカラン県にある石灰岩の採掘場「ブキット・ジャディ」。インスタグラムで「絶景が見られる」とうわさが広まり、週末には多くの人が訪れるマドゥラ島の新たな観光スポットとなっている。
スラバヤ市内からスラマドゥ橋を渡ってマドゥラ島を目指し、ブキット・ジャディまでは車で約1時間半。目的地へ続く1本道は車2台がやっとすれ違えるほどの幅で、馬車や自転車も通るのんびりとした雰囲気だが、途中で何度もトラックとすれ違った。
広場に出ると切り開かれた白い斜面が目に飛び込んでくる。あちこちから重機を動かす鈍い機械音が聞こえる。ここでは月曜から金曜までは石灰岩を切り出す作業が進められている。
池がある場所へは、石灰岩でできた階段を下りる。光の当たり具合で色が変わるため、晴天時には透き通った青色になるのだが、訪れた日はあいにく雨が降ったりやんだりする曇り空。それでも、白い崖に囲まれた緑色の池はなんだか神秘的。多くの観光客が写真撮影に夢中だった。
池の中央まで小道が作られているほか、いかだに乗ることもできる。水は掘削作業の際に地下から湧き出たもの。のぞき込むとおたまじゃくしや小魚がたくさん泳いでいた。
さらに奥へ進むと、パステルカラーの水色の池も現れ始めている。ここではあちこちで池の底から水が湧き出すという。
■採掘中の山も絶景
池を取り囲む白い斜面には、所々で小部屋のような穴が開いており、作業員らが石灰岩を切り出していた。
ここで働くバナンさんは、石を切り分ける所に線を引いたあと、目を守るゴーグルをつけ、チェーンソーを構え、黙々と石を切り出し始めた。白い粉が煙のように舞う。もう1人の作業員が時折、刃にオイルをかけたり、切りくずをほうきで掃いたりしていた。
バナンさんによると、石はマドゥラ島のほかスラバヤなどにも運ばれ、建築材のブロックとしてそのまま使われたり、セメントと混ぜたりして利用されているという。
バナンさんは「観光地として注目され始めたのはここ1年。地元の人だけでなく外からも多くの人が訪れるようになった」と話す。「観光地になるなんて思ってなかった。作業中にできた思わぬ観光スポットなんだ」と話した。
一方、すぐ近くに設置されていた水泳プールは3年ほど開いていたが、マドゥラ島以外から訪れる観光客が肌の露出が多い水着で遊ぶなどしたため地元住民から反発が起こり、今は閉鎖されてしまったという。
それでもブキット・ジャディそのものが、普段インドネシアで見ている景色とは違った世界。真っ白なブロックが積み重なる先にある深い谷、そびえ立つ崖や黒と白の小さな丘、高い場所から見下ろす緑あふれるマドゥラ島……。
エリア内は車やオートバイで移動することができるため、暑い日は途中まで車を走らせ、歩いて散策するのがベスト。3カ所に分かれており、1万ルピアずつ計3万ルピアが必要。
自然と人が織り成す採掘場がそのまま残る景色だが、岩や石が多いなど足場が悪いだけでなく崖には柵などが設置されていないので、気をつけながら楽しんで。(毛利春香、写真も)