【スナンスナン】真珠の海とワインの里と バリ北部の旅
穏やかな海と火山性の黒砂のビーチが続くバリ島の北海岸。古くからイルカ・ウオッチングやダイビングで有名な場所だが、今回は穏やかな海を利用した真珠の養殖場や火山性の豊かな土地を生かしたワイン用のブドウ畑を訪れ、最後は商売繁盛祈願の寺に寄った。
デンパサールから3時間半、涼しい高原や霧深い峠を経てブレレン県の港町シンガラジャの西に出た。海沿いの道路脇で黒い色のブドウが売られていた。年間を通じて収穫される食用のブドウだが、近年ワイン用の畑が増えつつある。1990年代創業のハッテンワインは海岸沿いのサンガランギット村を中心に35ヘクタールの畑を所有し、ウェルカム・センターで見学者を受け入れている。
センターのカデックさんの案内で畑の中を歩いた。従来のブドウ棚の隣に垣根のように縦にブドウをはわせた区画があった。「今試験中の栽培方法。これだと棚式に比べて生産量では劣るが、質のよいブドウができる」とのこと。一通り説明を聞いたあと、センターの小さな建物の中で、これらのブドウから作った赤、白、ロゼを試飲した。畑ツアーと試飲は1人5万ルピア。
ここから5キロ西、同じく海側に入った小道の突き当たりに、オーストラリアの真珠会社、アトラスの養殖場とショールームがある。同社はインドネシアの5カ所に養殖場を持っており、ここでは南洋真珠の親貝であるシロチョウガイの「母貝」の育成や真珠の元となる「核」を貝の体内に入れる作業を行っている。このあと貝はより良い環境の西パプア州ラジャ・アンパットなどの養殖場に船で運ばれ、2年後真珠が採取される。
タンクの中をのぞくと生まれて間もないシロチョウガイの子どもが虫のように動いていた。隣の部屋では餌の植物性プランクトンがフラスコの中で育っていた。核を入れる作業は見ることはできないが、実際の貝を使ってデモをしてくれる。見学は無料。
最後はさらに西へ5キロほど行ったところ、山の麓にあるムランティンの寺院に寄った。商売繁盛の寺として知られ、祭日には大勢の参拝客でにぎわう立派な寺だ。売店で簡単な供物と線香を買い、腰布を巻いて境内に入った。供物を祭壇に置いて手を合わせると寺の僧侶がベルを鳴らしてマントラを唱えてくれた。深い緑をバックに立つ印象深い寺だが、バリ一番のいたずら好きのサルがいるので注意するように。帽子はおろか、メガネやイヤリング、ショルダーバッグまで引ったくるそうだ。(北井香織、写真も)
HATTEN WINE WELCOME CENTER
住所 Jl. Raya Seririt-Gilimanuk Desa Sangglangit, Buleleng, Bali
☎ 0812・3964・5077
ウェブ www.hattenwines.com
ATLAS PEARLS
住所 Jl. Raya Seririt-Gilimanuk Desa Penyabangan, Buleleng, Bali
☎ 0361・284455
ウェブ www.atlassouthseapearl.com.au