軍艦上で閣議 中国をけん制 大統領 ナトゥナ諸島沖を訪問
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と主要閣僚は23日、リアウ諸島州ナトゥナ諸島沖に向かい、ナトゥナ諸島の経済成長を議論する閣議を、軍艦上で開いた。大統領に就任後、南シナ海を訪れるのは初めてで、ナトゥナ諸島沖で17日に海軍が中国船を拿捕(だほ)した軍艦に乗船し、ナトゥナ諸島の現場を訪れることで領域を守る姿勢を強調した。
大統領一行は23日午前、東ジャカルタのハリム空港からナトゥナ諸島に向かい、17日に中国漁船を拿捕 した軍艦「KRIイマム・ボンジョル383」に乗船し、約1時間閣議を開いた。
ナトゥナ訪問にはガトット・ヌルマンティヨ国軍司令官、ルフット・パンジャイタン政治・法務・治安調整相、レトノ・マルスディ外相、スシ・プジアストゥティ海洋水産相など関係閣僚がそろって同行した。軍用機2機、軍艦2隻などが同行した。
船上の閣議では、レトノ外相が17日の中国船拿捕に至る一連の経緯を説明し、閣僚、軍関係者が1人ずつナトゥナ諸島の現状を説明した。
ルフット調整相は地元メディアに「大統領がナトゥナ諸島を訪れたのは初めて。ナトゥナを訪れたこと自体が意思表示となる」と主権がインドネシアにあることを強調した。中国側はナトゥナ諸島沖を含む南シナ海の大部分を管轄しているとする根拠の境界線「九段線」を基に中国の海域と主張している。
レトノ外相は閣議後の会見で、海に囲まれているナトゥナ諸島の潜在性を引き出すため、漁業と石油・ガスの側面で開発を支援すると話した。エネルギー鉱物資源省の調査によると、ナトゥナ諸島周辺には16の油田・ガス田があり、うち5カ所ですでに生産されている。
スシ海洋水産相は漁業発展のために海洋漁業センターの設立が必要と主張。ジョコウィ大統領は国軍にナトゥナ諸島沖の海域を守るよう指示した。
これまで南シナ海問題について、インドネシアは立場が分かれている東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも中国との距離を中立に保っていた。昨年11月のASEAN関連首脳会議で対応に関心が集まった際も、従来通りの主張を通していた。(佐藤拓也)