行楽地やモールで祝う ムスリムの家族連れも  イムレック

 イムレック(中国正月、春節)前夜の二十二日、全国各地で色鮮やかな花火が打ち上げられた。ジャカルタ中心部のオフィスビルやモールは金、黄、赤の飾りで彩られ、バロンサイ(獅子舞)や昇り竜が舞う。行楽地では、ムスリムの家族連れも華人とともに国民の祝日を祝った。
 中央ジャカルタの高級ショッピングモール、グランド・インドネシアでは、ジルバブを被った女性グループも、中国風のデザインのバティックなどを選び、春節の雰囲気を満喫していた。
 各地で華人団体や寺院が春節を祝う行事が開かれた。南スマトラ州パレンバンでは、二十二日晩から寺院に一万人が集まり、二千個以上のランタンに火が灯された。春節に鳥を宙に飛ばすと、その年良い収入を得ることができると信じられており、参拝客向けにスズメなどの小鳥を販売する人もいた。
 バリ州クタも赤いロウソクに灯が点され、ランタンが飾られ、中国正月一色に彩られた。各地から新年の休暇を過ごそうと訪れた観光客も、二十三日早朝から寺院に集まり、新年を祝った。

■「中国村」は大混雑
 東ジャカルタ・チブブールの複合施設コタ・ウィサタ・チブブール内のテーマパーク「カンプン・チナ(中国村)」は、ムスリムの家族連れなど数万人の行楽客でごったがえした。
 「四万五千ルピアを四万にまけて」。衣料店でジルバブ姿のシファ・ファウジヤさん(四○)さんは子ども用の中華服を値切る。毎年春節のイベントに参加しているという。店主のスンダ人男性ストリスノさんは「昨日はがらがらだったのに。今日は朝からすごい人さ」。
 客と店員のほとんどがプリブミ(土着のインドネシア人)。「テレビで見て面白ろそうだから来た。渋滞のせいで、(バンテン州)タンゲランから車で五時間かかったわ」とキリスト教徒のビンニオさんはこぼしていた。
 ジャゴラウィ高速道のチブブール料金所付近は午後から数キロの大渋滞。会社員のムスリム男性ヨニ・サヤフディンさん(三五)もテレビで知って家族とやって来た。「いまはムスリムでもこうやって、イムレックを楽しむのは当たり前になっている。楽しいね」と笑顔を見せた。

■中国語能力は千差万別
 大衆紙インド・ポスが連日掲載している華人コミュニティーのページ(インドネシア語)担当記者シシリアさん(三〇)は、スハルト政権崩壊から十四年近くを経て、ショッピングモールなどのイベントもすっかり定着したと話す。
 中国文化自由化後、インドネシアと中国の関係は緊密になった。中国語は、国立高校で外国語の選択科目の一つとなり、英語とともに将来必要な国際語との認識が高まった。
 シシリアさんは「中国に留学する若者も増えた。最近ではむしろシンガポールや豪州、国内の私立学校より安いからとの理由で中国を選ぶ人もいる」と指摘する。「でも私を含め、現在の二十五歳から五十歳近くまでの世代は、スハルト政権下で教育を受けたため、まったく中国語を理解できない」
 シシリアさんによると、スハルト政権崩壊直後に多数創刊された華字紙は高齢者向け。若者は簡単な中国語は話せるが、ニュースを理解できるほど習熟していない。近隣諸国や中国からやって来る中国人を取り込めず、インドネシアの中国語メディアの数は限られたままだという。

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