全国で中国正月祝う 自由化から12年 「お互いの理解が大切」

 イムレック(中国正月、春節)の二十三日、約一千万人といわれる全国各地の華人は、中国寺院などで花火や爆竹を打ち鳴らし、盛大に新年を迎えた。三十年以上続いたスハルト独裁政権の弾圧を経て、アブドゥルラフマン・ワヒド元大統領(グス・ドゥル)が二〇〇〇年、華人文化を自由化し、二〇〇二年末にメガワティ大統領(当時)が国民の祝日に定めてから今年で十回目の中国正月。ショッピングセンターを真っ赤に染め、街中をバロンサイ(獅子舞)が練り歩くなど、華人が春節を祝う光景はインドネシアに定着した。(高橋佳久、写真も)

 西ジャカルタ・グロドックの中国寺院「金徳院」では、首都圏各地から華人が、大晦日に当たる二十二日夜からひっきりなしに訪れた。参拝者の多くは赤い服を着て、三十本ほどの線香のほかにろうそくなどを購入、境内にある人の背丈よりも大きなろうそくで火をつける。その後、約十カ所の仏像の前で線香を高く掲げ、奇数本の線香を指していく。中には地面にひざまずき、懸命にお祈りする人や、境内に充満した煙で涙を流しながら参拝する人も見られた。
 ジャカルタで飲食店を経営するルディさん(三七)は「二〇〇六年に儒教が宗教として認められ、住民登録証(KTP)に記載できるようになるなど、少しずつ住みやすくなっている。店の売り上げも毎年非常に良くなってきているよ」と笑顔で話した。
 金徳院にはジルバブをかぶる若い女性の姿なども多数見られた。華人の文化を学ぼうと訪れる学生などが増えているという。
 普段はスラバヤで清掃業を行っているが、この時期だけは育ったジャカルタを訪れ、参拝しているというアンナンさん(五二)は「私たちはインドネシアでは少数派。ただ、最近は中国の文化に興味をもつ若いムスリムも増えている。お互いを理解しようとすることが大事」と話した。
 寺院の周辺には、ぼろぼろの服を着た子どもや髪を無造作に束ねた老女らが喜捨を求めて列をなしていた。ジャカルタ郊外から喜捨を求めてやってきた男性は「最近の華人は金儲けのことしか考えず、喜捨の気持ちが少ない」とぼやいていた。

ライフ・文化 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

クナパくんとブギニ先生NEW

私のじゃかるた時代NEW

編集長の1枚NEW

キャッチアイ おすすめニュースNEW

インドネシア企業名鑑NEW

マサシッ⁉

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

有料版PDF

修郎先生の事件簿

メラプティ

子育て相談

これで納得税務相談

おすすめ観光情報

為替経済Weekly