老練ヒーロー、後継者指導 日本のサブカル世代 テレビドラマを制作 23日夜、RCTI放映
年老いた日本のスーパーヒーローが後継者探しにインドネシアへやって来たー。大戦隊ゴーグルファイブや仮面ライダーなど、日本のヒーロードラマを見て育ったインドネシアの映像制作者たちが、テレビ用のコメディドラマ「市場印スーパーイエロー(Super Yellow Cap Pasar Inpres)」を完成させた。長年の経験を次世代に受け継ぎたいと、先輩ヒーローが必殺技や規律を後継者に指導しながら信頼関係を深めていく様子は、技術移転や現地スタッフの育成に苦心するビジネスマンの姿にも重なる。
このドラマは、民間テレビ局RCTIで二十三日午後十一時から放送される。
悪を成敗する「スーパーイエロー」として活躍した輝かしい経歴を持つシンジ・ミカミが主人公。ともに活動してきた盟友たちに先立たれ、スーパーヒーローになろうという若者もいない。いよいよ引退かと思い詰めた矢先、「後継者はジャカルタにいる」と暗示する夢を見てインドネシア行きを決意する。
ジャカルタでは、スーパーヒーローに憧れながらも、伝統市場で無為な日々を送るグナワンと出会う。頼りなげだが、これまでの経験をグナワンに引き継ぎ、後継者として育てようと猛特訓を始める。
スーパーイエローを演じるのは、インドネシアで唯一、本格的な俳優として活躍する日本人の鈴木伸幸氏(四八)。経験豊富で威厳を保ちながらも、働き盛りの年齢は過ぎ体力低下の目立つヒーローを、哀感を漂わせながら好演している。
■ドラマ紹介で記者会見
日本絡みの映像作品について紹介する機会を設け、日イの文化交流の活性化を図ろうと、国際交流基金ジャカルタ日本文化センターは二十日、南ジャカルタの同センターで同作品に関する記者会見を開催。日本の特撮ヒーロードラマを見たり、アニメやマンガに夢中になって育った二十、三十代の制作スタッフや出演者が出席した。
映像制作会社オレイマ・フィルムのエグゼクティブ・プロデューサー、レザ・ヒダヤット氏(三一)は「かつて憧れたヒーローものを題材にドラマを作りたかった」と説明。日本やインドネシア映画のVFX(視覚効果)を手掛けてきたハリス・レギー氏(三一)は「戦闘シーンに注目してほしい」と自信を見せた。
いずれも小学高学年はドラえもんやグーグルファイブ、中学高校ではナルトや聖闘士星矢(セイントセイヤ)などに熱中したという。
鈴木氏は現在、トランスTVの連続ドラマ「チンタ・チュナット・チュヌット(Cinta Cenat Cenut)」(毎週土曜放映)に出演、ヤクザの日本人男性役を演じている。「日本兵やヤクザ、会社員と、インドネシアの映画やドラマに登場する日本人はステレオタイプなものが多いが、本作でようやく『これだ』と思える役を演じることができた」と手応えを語った。