不協和音で内閣改造論 欧州歴訪後に 大統領発表か 経済政策で対立深刻化
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権の第2次内閣改造の議論が活発化している。6閣僚を入れ替えた昨年8月の第1次内閣改造以降、主に経済政策をめぐる閣内不一致が深刻化。来週の大統領の欧州歴訪後に発表するとの観測も出ている。
ジョコウィ大統領は13日、西ジャワ州ボゴールの大統領宮殿(イスタナ・ボゴール)で閣僚や政治評論家らと会談した。今月7日にもボゴール宮殿に閣僚を呼び出し、内閣改造は訪米中のカラ副大統領の帰国待ちとの見方が強まったが発表されず。今月18〜22日の欧州歴訪後に発表するとの観測も出ている。
2014年10月の政権発足から1年半。昨年8月の第1次内閣改造では、経済停滞で批判が高まるなか、経済閣僚4人を中心とする6閣僚を実績のある専門家らと入れ替えた。ことしに入り内閣不一致が深刻化したが、大統領は慎重姿勢を崩さず、所属政党の闘争民主党(PDIP)など連立与党から早期実施を求める声が高まっている。
■開発事業で異論
最大の不協和音は経済政策をめぐる対立だ。東南アジア最大級のガス田・アラフラ海マセラ鉱区の開発方針で、リザル・ラムリ海事調整相とスディルマン・サイド・エネルギー鉱物資源相が舌戦を展開した。
海上案のスディルマン氏はユスフ・カラ副大統領が支持。陸上案を主張したリザル氏は、アブドゥルラフマン・ワヒド(通称グスドゥル)政権以来の盟友、ルフット・パンジャイタン政治・法務・治安調整相が後押しした。最終的に昨年入閣したばかりのリザル氏が唱えた異論が採用されたことで識者からの批判も集中した。
また高速鉄道建設や港湾の貨物滞留問題などで、大統領から警告を受けたのがイグナシウス・ジョナン運輸相だ。高速鉄道では1月の起工式を欠席し、建設許可も未発行。事業を主導するリニ・スマルノ国営企業相との対立が深刻化している。
■与党の影響強化
PDIPは閣内での影響力強化を図る。前回の内閣改造で古参党員のプラモノ・アヌン氏を内閣官房長官に送り込み、党と大統領の連携を強化した。これに対し、大統領はプラモノ氏入閣直後にテテン・マスドゥキ氏を閣僚級の大統領首席補佐官に、ことし1月には汚職撲滅委員会(KPK)の元幹部ジョハン・ブディ氏を特別補佐官に任命。党主導人事に対抗する姿勢を見せた。
しかし一方で党と大統領が進める人事案もある。PDIPの国会議員で元活動家のブディマン・スジャトミコ氏がマルワン・ジャファル村落・途上地域開発相の後任候補に挙がっている。マルワン氏について、大統領は村落交付金配布の遅延や予算執行率の低さ、親族による省の事業関与などを問題視している。
9月の連立与党入り以降、閣僚ポストを要求してきた国民信託党(PAN)は、経済評論家のディディック・ラフビニ氏らを提示し、環境林業相や運輸相のポストを狙う。他にもフェリー・ムルシダン・バルダン国土都市計画相やユディ・クリスナンディ国家行政改革相などの更迭も取りざたされている。(配島克彦)