ソーシャルメディアと協力を 大統領 テロ対策を共有 米ASEAN 首脳会議閉幕
米カリフォルニア州ランチョミラージュの保養施設サニーランドで開かれていた東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と米国による首脳会談が16日(現地時間)、閉幕した。対テロ対策でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は、先月ジャカルタで発生した爆破テロ事件の教訓を各国と共有し、過激派組織が戦闘員勧誘に利用しているソーシャルメディアとの協力関係をつくり対処していくことなどを呼びかけた。
16日、対テロ対策についての議論の場で、ジョコウィ大統領は参加国首脳の中で最初に発言した。先月14日にジャカルタで起きた爆破テロ事件への各国の対応に謝意を示すとともに、事態が比較的速く収束したことなどを強調。一方で「テロへの警戒を怠ってはいけない」と警告した。
そのうえでテロ防止のためには、寛容であること、テロリズムや過激派と戦うこと、問題の根源やテロを生み出す環境に対処することが大切だと訴えた。進行中の反テロ法改正など「ハードパワー」と、宗教・文化的な交流や過激派の社会復帰支援など「ソフトパワー」のアプローチが必要とした。
さらに、外国人戦闘員が過激派組織に参加していることについて、各国共通の課題との認識を示した。インドネシアからはこれまでに329人がシリアに渡ったとされているが、2億5200万人の人口に対して相対的に少ない数であることを強調。その理由として政治の安定や民主主義を挙げた。
対テロ対策ではソーシャルメディアとの協力関係をつくることも提案した。大統領はソーシャルメディアを通じた外国人テロ戦闘員の勧誘が多発している実態を指摘し、「ソーシャルメディアと協力して平和や寛容を広めていくべき」と語った。
首脳会議ではこのほか、南シナ海の領有権問題について、実行支配を進める中国を念頭に「航行の自由」や「域内の活動の非軍事化と自制を促す」ことなどを盛り込んだ共同文書を採択して閉幕した。
ランチョミラージュでの首脳会談閉幕後、大統領はサンフランシスコに移動し、16日(現地時間)夕方にはサンフランシスコ在住のインドネシア人と交流した。
17日には米ASEANビジネス協議会(US―ABC)に参加するほか、シリコンバレーを訪問し、グーグルやフェイスブック、ツイッターなどのIT企業幹部らと会談予定。昨年10月の訪米時にもアップル社幹部らとの会談を予定していたが、スマトラ島やカリマンタン島での煙害拡大を受けて予定を切り上げて帰国した。
大統領は19日朝に帰国する予定。(木村綾)