JJS5年に「夢」指導 元サッカー日本代表の水沼さん
元日本代表FWでサッカー解説者の水沼貴史さんは十三日、日本サッカー協会(JFA)が進める教育プロジェクト「夢先生」でジャカルタ日本人学校(JJS)を訪問し、小学部五年生に夢の大切さを伝えた。ジャカルタ開催は全日本空輸(ANA)、ホテル・ムリアが協賛。
「本気でやることが大事」。水沼さんが講義の最後で、夢の実現に必要なことを説いた言葉だ。
講義で水沼さんの半生を振り返ると、子どもらは食い入るように耳を傾ける。サッカー少年だった水沼さんは、ちょうど五年生と同じ十歳ごろのとき、「サッカー選手になって五輪に出る」と夢を決めた。それ以来、「一生懸命練習して、食べて、ちょびっとだけ勉強をする」ことを続けてきた。
それでも「何回も挫折を経験した」と水沼さん。ワールド・ユース、五輪ではチームから外された。とてもつらい気持ちになったが、家族や友人の支えで奮起。二度ともチームに復帰し、大会で活躍した。
監督から「守備をしていない」と指摘されたときは、逆に攻撃の練習に力を入れた。「得意なこと、自信のあることを伸ばすことが大事」と個性の大切さを伝えた。
水沼さんに触発され、子どもたちは「夢シート」に夢と実現の仕方を書いた。森礼奈さんは「指揮者になりたい。(片手でピアノの鍵盤をまたぐ)一オクターブが届くようにしたい」と発表。「水泳で五輪に出る。毎日泳いで、日本の大会を勝ち抜きたい」と冨士大早輔さんは力強い。
講義の前にはゲームで子どもと距離を縮めた。仁平翔太さんとJFAの式田高義さんがキャッチボールをする間に前に進む変形「だるまさんが転んだ」。二人のフェイントに惑わされながらも、「ゆっくり、着実に」を合い言葉に子ども全員が到達に成功した。
お尻につけた布を取り合う「しっぽとり」。柔道の動きで水沼さんに勝負を挑んだ安齋優紀さんは「楽しかった」と笑顔を見せた。最後は二組担任の岸本涼介先生と子ども・水沼さん連合軍が対決。先生に尻尾を取らせない巧みな動きで子どもらの大勝利だ。
「夢先生」は日本代表などの新旧プロ選手が小学校を訪れ、夢について指導するプロジェクト。日本各地で開催されており、「夢先生」の総数は十三日現在、五百二十三人に上っている。