第2次改造 議論活発に PAN入閣とリニ氏焦点

 8月に続くジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権の2回目の内閣改造議論が活発になっている。焦点となっているのは国民信託党(PAN)からの入閣とリニ・スマルノ国営企業相の処遇だ。

 閣僚人事は大統領の専権。地元メディアから内閣改造について問われたカラ副大統領は6日、「まだ(ジョコウィ大統領と)話し合っていないが明日か明後日に協議する」と述べた。内閣改造議論が浮上したのはPANが9月に与党入りし、2016年予算をめぐってリニ国営企業相が国会で批判の的になったため。
 国会に49議席を持つPANがグリンドラ党とゴルカル党主導の野党連合を抜け、与党連合に合流したことで、国会議席は与党連合が多数派を占めるようになった。政権としてはPANから閣僚を迎えることで国会を安定的に運営できるメリットがある。
 PANのズルキフリ・ハサン党首は、大統領から入閣の要請は来ていないとしつつも「(要請が)あれば準備はできている」と党員の入閣に前向きな姿勢を示した。タウフィック・クルニアワン国会副議長など具体的な候補者を準備しているという。
 2016年国家予算の国営企業への資金注入凍結問題で、スティヤ・ノファント国会議長(ゴルカル党)ら国会幹部は5日に大統領宮殿でジョコウィ大統領と会談。会談を終えたファフリ・ハムザ国会副議長(福祉正義党=PKS)は「政治的負担になる人物がいる必要はない」と内閣改造を提案したことを明かした。特定の閣僚を取り上げていないとしているが、予算問題でリニ国営企業相に責任を取らせることを大統領に迫ったとみられる。
 こうした動きを受け、リニ国営企業相は「なぜ問題になっているのか分からない。これまで(の働き)を見てほしい」と自身へのパフォーマンス不足との見方を否定。「全ての大臣は大統領に任命される」と大統領への進言をけん制した。
 リニ氏のほかにプラセティヨ検事総長(ナスデム党)やヤソナ・ラオリ法務人権相(闘争民主党=PDIP)など司法関係の役職に政党出身者が就いていることを問題視する意見も出ている。
 8月の内閣改造では3調整相を含む6閣僚が交代。インドネシア大学政治学者のアグン・スプリヨノ氏は国営アンタラ通信に、1回目の内閣改造は閣僚間の意思疎通改善のために実施したが、新内閣になっても改善していないと指摘。「ミスコミュニケーションと調整不足を解消しなければ国民の政府への信頼は低下する」と述べた。(堀之内健史)

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