建長寺伝統のけんちん汁 バリで精進料理を紹介 鎌倉の料理研究家 藤井さん
精進料理の研究家として日本国内はもとより、世界各地で指導を行っている鎌倉市の藤井まりさんが、バリ島の在デンパサール総領事公邸で在住邦人女性らに家庭で楽しめる精進料理を紹介した。参加者は鎌倉の建長寺が発祥ともいわれるけんちん汁をつくり、風味豊かな精進料理の数々を楽しんだ。
藤井さんは、僧侶で台所役だった夫の故藤井宗哲さんとともに鎌倉で30年以上精進料理を教えてきた。北京にも留学し薬膳や中国精進料理の研究し、アジアや欧米にも招かれ指導を行っている。
元総領事夫人でベジタリアンの柴田輝美さんはかつて藤井さんの教室に通った一人だ。
精進料理というと刺激がなく地味なイメージが伴うが、一枚の皿に盛り付けたちらし寿司、ゴマ豆腐、オクラ寒天、切干大根、飛竜頭などはむしろ食欲をそそる華やかさがある。「動物性のものは一切使っていないのに、十分こくがあってとても満足」「これなら毎日の食事に取り入れたい」などの感想が参加者から聞かれた。
今回、藤井さんが作って見せたけんちん汁は、だしを前もって用意しておけば簡単にできる。魚や肉料理のとなりにこんな素朴で香り良い汁物があればほっとするだろう。
藤井さんは「精進料理は仏教の教えに基づいた日本文化の一つ。今見直されている醗酵調味料を多用し、野菜は全てを使い切るなど環境にも優しい料理。海外でも大変注目されています」と話した。柴田さんは「精進料理は初めてという人にもとても喜んでもらえた。異国で日本の食文化の素晴らしさを改めて知る機会になったと思う」と話した。(北井香織、写真も)
材料(6杯分)
・ゴボウ 1/2本
・レンコン 1節
・ニンジン 小1本
・大根 1/4
・小松菜 1/3束
・干ししいたけ 4枚
・こんにゃく 1/2
・木綿豆腐 1/2
・昆布 角 1枚
・昆布だし 適量
・しょうゆ 大さじ3
・ゴマ油 大さじ2
作り方
(1)干しシイタケは水で戻して石づきを取り、そぎ切りに。小松菜以外の野菜は乱切り、こんにゃく は1口大にちぎって湯通し。干しシイタケの戻し汁は取っておく。
(2)鍋にゴマ油を熱し、ゴボウ、レンコン、ニンジン、大根など、硬いものから順に炒める。
(3)しょうゆ大さじ1をふる。大根が透き通るまで炒めて水分を蒸発させるのがおいしく仕上げるコ ツ。
(4)干しシイタケの戻し汁と昆布のだし汁を、昆布を入れたまま鍋に入れる。だし汁の量は野菜がひ たひたになるくらい。野菜がやわらかくなるまでアクをとりながら煮る。
(5)野菜が煮えたら豆腐を揉みつぶして入れ、しょうゆ大さじ2を入れる。
(6)昆布を取り除き、2センチほどの長さに切った小松菜を入れ、ひと煮立ちする。