【じゃらんじゃらん】 映画効果で観光地化じわり 「虹の国」ブリトゥン島

 インドネシア映画史上最高の観客動員数を記録した映画「ラスカル・プランギ(虹の兵士たち)」(2008年公開)で、一躍注目を浴びたスマトラ島東沖のブリトゥン島。続編もヒットし、人口26万人の島に観光客の姿が目立つようになり、観光地化の動きも見え始めた。

 ブリトゥン島観光の目玉は、海岸沿いに連なる巨石群と白い砂浜。子どもたちが駆け巡る映画のシーンで知られるようになった北部のタンジュン・ティンギ海岸の巨石群は、各地から写真家のツアーが組まれるほど。天候やアングルの違いで多様な表情を見せる絶好の被写体だ。入り口には「ラスカル・プランギのロケ地」と書かれた看板も掲げられた。
 付近のタンジュン・クラヤン海岸には漁船が並ぶ。ここから発着する小舟で小島を巡るツアーは、シュノーケリングなどを楽しむ観光客でにぎわう。船で約20分のルンクアス島には、オランダ植民地時代に建てられ、現在も使われている灯台がある。最上部まで上るとエメラルドグリーンの海を一望できる。
 タンジュン・クラヤンの住民ムアラットさん(38)は「観光地としての整備はまだこれから」と話す。数キロ続く海岸には素朴な屋台と観光局の施設しかないが、とん挫していたリゾート開発が近く再開される予定という。
 映画効果は目に見える形で現れている。2013年には、市街地に大手アストン・ホテルがオープン。同ホテルによると、イムレック(春節)はジャカルタなどからの客でほぼ満室。昨年ジンバラン・ブリトゥン・ホテルもオープンし、ホテル開発は勢いを増しそうだ。
 一方、アホック・ジャカルタ特別州知事の故郷でもある東部の観光開発は未着手。道路は整備されているため、映画のロケ地ガントンを訪れる観光客は依然多い。オランダ時代から続くスズ採掘は国営企業から民間に移譲され、今も東部の主要産業だ。
 ブルン・マンディ地区の丘陵地には同島最古の中国寺院「観音山」がある。トゥキマンさん(27)は「アホック氏の父がここの管理人を務めていた。近くに同氏の別荘もある。今年は中国から高さ10メートルの観音像が贈られる予定で、各地から参拝者がさらに増えそう」と話した。(配島克彦、写真も)

タクシー経営、英国人奮闘

 ブリトゥン島唯一の公認タクシーが「ストリートタクシー」。空港から市街地まで10万ルピア前後。レンタカーもある。予約はウェブサイト(www.belitungtaxi.com)で。
 昨年7月に開業したばかりの個人経営タクシー。ブリトゥン観光の将来性を見込み、中東のドバイから移住した英国人マイケル・カールトンさん(39)と北スマトラ州メダン出身のラモナ・オンプスングさん(32)夫妻が運営する。外国人観光客はまだ少ない同島で、自ら車やオートバイを運転し、観光地やホテルへ客を案内する白人経営者の姿が印象的だ。

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