「民主化の経験共有を」 第4回バリ民主主義フォーラム ユドヨノ大統領が基調演説 82カ国参加し開幕
インドネシアが、アジア太平洋や中東諸国の首脳・外相らを招いて民主主義のあり方などについて議論する第四回バリ民主主義フォーラムが八日、バリ島ヌサドゥアで開幕した。東南アジア諸国連合(ASEAN)議長国として今年一年、日米中などの首脳が参加した東アジアサミットなど多くの国際会議を主催し、外交面での飛躍を図るユドヨノ大統領にとって、締めくくりとなる国際会議。「アラブの春」で独裁政権の崩壊が相次いだ今年、インドネシアはスハルト政権退陣後に試行錯誤を繰り返しながら築いてきた民主主義の価値を強調することで、国際社会での存在感拡大の機会にする考えだ。
インドネシアは二〇〇八年から毎年一回、バリ民主主義フォーラムを開催。二〇〇九年は政権交代を果たしたばかりの鳩山由紀夫首相(当時)、昨年は韓国の李明博大統領が共同議長を務めた。九日までの二日間となる今回のフォーラムのテーマは「変化する世界の中での民主的参加の促進」。
日本からは総理特使として岡田克也元外相(衆議院議員)が出席。バングラデシュのハシナ首相が共同議長を務め、ブルネイのボルキア国王、スリランカのウィクラマナヤケ首相、東ティモールのシャナナ・グスマン首相など八カ国の首脳級ら八十二カ国の代表が参加した。
ユドヨノ大統領は基調演説で「審判や罰則なしに民主主義の考えや教訓を共有するフォーラムは、地域の国々にとってほかに代えがたいものになっている」と述べ、欧米ではなくアジア主導で民主主義に関する国際会議を開く意義を説明。
民主化の取り組みを次々に打ち出しているミャンマーについて、「われわれは永続的な平和と和解を達成するための改革と民主主義の発展を進めることを支持する」と強調した。
北アメリカや中東の「アラブの春」を「最も重要な展開」とし、「民主主義の成功は作られなければならないもの」と述べ、さまざまな困難が待ち受ける中、インドネシアの経験を共有していくとの方針を示した。
アラブの春では「一般市民がフェースブックやツイッター、スマートフォンを使用して変化を生み出した」と述べ、「ソーシャルメディアにいかに向き合うかが、二十一世の民主主義において実際的な課題になる」と語った。