「上手にほめよう」 小児精神科医の広瀬医師 JJSで子育て講演会
「保護者の悩みに対して適切な助言を伝えたい」―。
じゃかるた新聞の火曜日7面に隔週で掲載中の「広瀬先生の子育て相談」でおなじみの、小児精神・神経科医の広瀬宏之医師(神奈川県横須賀市療育相談センター所長)は17日、ジャカルタ日本人学校(JJS)で子育て講演会を開催した。
講演会は、海外に医師を派遣している財団法人海外邦人医療基金(JOMF)とジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)が主催し、共愛メディカルセンターが後援。広瀬医師はJOMFの派遣医師として2年ぶりの来イ。
当日は42人の保護者が参加し、広瀬医師の講演に耳を傾けた。事前に参加者から相談や質問内容を受け付けており、子どもの行動の分類、多言語教育への心構え、発達障害などについて説明した。
■叱り方と発達障害
「してほしい行動はほめる。してほしくない行動は無視する。保護者が子どもを上手にほめることで、子どもは行動を学習する。できて当たり前のことをほめ、ほめる基準も下げることで子どもは努力し、その努力をほめる」とほめることの大切さを訴えた広瀬医師。
やめさせたい行動については、介入して止めることが重要だという。広瀬医師自ら後ろから抱きついて止めるなどの止め方を実演した。
また、「人間は誰でも発達凸凹がある。人口の1割の人々には何らかの発達障害がある」と説明し、「世の中には発達障害のある人は重要で、社会の中でうまく対応していかなければならない。個性を伸ばしていくことが大切」と語った。
参加者は「子育てをする上で子どもの行動を見極めて、ほめることが重要になってくると感じた。子どもの教育は家庭だけでなく学校でも重要になってくる。学校の先生方にも参加してもらって、共有してほしい」と感想を語った。
15日、16日には共愛メディカルセンターで小児発達個別相談を実施し、計35人の相談を受けた。
■子育て相談をもっと
ジャカルタで暮らす保護者にとって、子育てについて小児専門医と相談できる機会は少ない。インドネシアの好景気を背景に、今年度2学期のJJS児童・生徒数は今年4月より68人多い1014人に増加。これまで以上に、専門医や定期的な相談機会の必要性が高まっている。
今回が6回目のジャカルタ訪問となる広瀬医師は「小児科医に相談する機会が少ないジャカルタの保護者のために、今後も同じ人間が継続的に支援していくことが大切だ。インドネシアにまた足を運びたい」と続けることの大切さを強調した。(小塩航大、写真も)
※追記(2012年10月5日)
「してほしい行動はほめる〜」の段落で、「できて当たり前のことはほめない。ほめる基準を上げることで子どもは努力し、その努力をほめる」の文章を、「できて当たり前のことをほめ、ほめる基準も下げることで子どもは努力し、その努力をほめる」に訂正しました。