気候変動分野で合意 二国間クレジットなど協力 日本とインドネシア
日本とインドネシアは、二十八日からの気候変動枠組み条約第十七回締約国会議(COP17)開催(南アフリカ・ダーバン)を前にした二十五日、二国間クレジットの推進などの気候変動に関する分野で協力することに合意した。
二国間クレジットは、途上国での削減量を自国の削減分として換算できる制度で、京都議定書には定められてなく、現在設置の議論が進められており、日本は制度構築を目指している。同じような制度で、京都議定書に取り入れられているCDM(クリーン開発メカニズム)は「手続きが複雑」などの使い勝手の悪さが指摘されていた。CDMよりも柔軟に活用できることを想定しており、日本の省エネ技術や低炭素技術を活用したインフラの輸出を後押しすることも期待されている。二国間クレジットは、京都議定書では取り決められていない森林減少・劣化の防止による温室効果ガスの削減(REDD)のクレジットの取引にも活用される期待もあり、森林減少の防止を進めるインドネシアも推進していきたい考え。
ほかにも、インドネシアは日本が推し進める東アジア低炭素成長パートナーシップ構想に理解を示し、来年四月に日本で開催する同構想を推進するための対話会議に参加することに合意した。同構想はバリで十九日に開かれた東アジアサミット(EAS)で野田佳彦首相が提案。主要な温室効果ガスの排出地域である東アジア地域で低炭素成長モデルや二国間クレジットの制度の構築を推し進めることを想定しており、国連の会議を補完する役割を果たすことを期待している。
REDDや排出削減努力の透明性を高めるための計測、報告、検証などでも協力することで合意。日本はインドネシアが計測、報告、検証の担当機関を設立することにも協力する。
インドネシアは京都議定書の期限が切れる二〇一三年以降の各国の削減義務については、日本や欧州に法的な削減義務を課す京都議定書に同議定書で離脱した米国を加えた先進国のみに削減義務を負わせる議定書の採用を主張しており、京都議定書の単純延長に反対する日本とは対立関係にある。一方で、京都議定書では設けられていない削減目標達成のための柔軟策については新たな仕組みづくりで協力を進めていた。