【じゃらんじゃらん特集】ボゴールに涅槃仏 全長18メートル、観光名所に
タイなどの寺院で見られる涅槃仏(ねはんぶつ)。世界最大のムスリム人口を抱えるインドネシアでは近年新たに造られ、仏教徒の新たなシンボルとして注目を集めている。
ジャゴラウィ高速道路のスントゥール・スラタン料金所から約1時間。幹線道路のジャカルタ・ボゴール通りから、さらに奥に入ったボゴール県西部のタジュール・ハランに中国寺院「ブッダ・ダルマ&8ポサット」がある。
全長18メートル、高さ5メートル。長大な寝釈迦(しゃか)像が参拝者を迎える。屋根で覆われているが前面に壁はなく、開放的な造りだ。15日のワイサック(ブッダの生誕、悟り、入滅の三大仏事を祝う祭日)を控え、境内には線香や花を手にした参拝者が絶えない。
この寺院にあるような目を閉じている涅槃仏は、既に教えを説き終えて入滅した姿を表したもので、額には赤い照明がともる。像の前にひざまずき、祈りを捧げたり、記念撮影したりする客が入れ替わりやって来る。
寺院は2006年、アンディ・スワント・ダヌジャヤさんが自宅裏に建立し、2012年、夢に現れたという涅槃仏を完成させた。インド北東部の聖地ブッダガヤやタイなどを訪れ、さまざまな仏像を見て触発されたこともきっかけになったという。
インドネシアには現在、東ジャワ州モジョクルトに長さ22メートルの全身黄金の涅槃仏があるほか、同州マランや中部ジャワ州スマランの像も知られているが、首都圏にはなかった。アンディさんは「国内外から参拝者がやって来るようになった。この像を見た信者が感銘を受け、バンテン州スルポンにも造ろうと計画している」と話す。
ボゴールでは近年、ヤスミン教会封鎖や「イスラムの異端派」アフマディヤ襲撃など、宗教をめぐる血なまぐさい事件が頻発してきた。アンディさんは「宗教の本来の目的は対立をあおることではない。(ジャカルタにあるイスラム系の)パラマディナ大学の学生など異なる宗教の人々との対話の場も設けている」と語った。(配島克彦、写真も)