安い鶏ラーメンをどうぞ 「ムスリムにも身近に」 スラバヤの松永さん
豚由来成分を含まず鶏を使用したラーメンを提供する、東ジャワ州スラバヤの「ラーメン将軍」。オーナーの松永基希さん(29)は昨年12月、市内のモール「ロイヤルプラザ」に店を構えた。一杯9千ルピアからと低価格に抑え、豚を食べれないムスリムを中心にインドネシア人に日本のラーメンを親しんでもらおうと意気込んでいる。
味は鶏スープベースのオリジナル、ピリ辛、カレー、味噌の4種類。サイズは小、大の二つ。価格はオリジナル・小サイズの9千ルピアから味噌・大サイズの1万9千ルピアまでと、2万ルピア以下で味わうことができる。
味玉や照り焼きチキンなどトッピングも充実させた。ほかにも、2人前の石焼ラーメン(2万7千ルピア)や照り焼き丼(1万6千ルピア)と2品注文しても5万ルピアを超えないよう低価格にこだわった。
松永さんは「インドネシアでは華僑をターゲットにした価格の高い豚骨ラーメン店が多いと思う。国民の大多数のムスリムにラーメンを提供するには、低価格設定と味が重要だ」と強調する。
食材は全て国内で調達し、味噌などもインドネシア産だ。現在はハラル(イスラム教義に沿った)認証を取得していないが、手続きを始める方針という。
インドネシア人好みの味を把握しようと、アンケートやスタッフによる試食を繰り返し実施した。フランチャイズ(FC)の形をとっており、店ごとで味がばらつかないよう郊外に調理施設をを別に設置。基本スープや自家製麺を作り、ロイヤルプラザのほかもう一つある店舗へ冷凍配送する。「店ごとに味のぶれを出さないことが大切」と松永さん。
開店して半年。オープン時と比べ売り上げは約3割アップし、週末には平均100人の来客があるという。今後はFC店を増やし東ジャワ州を皮切りにジャワ島全域への進出を目指す。松永さんは「ラーメンを知らない人が多い地方から進出を始めるのが面白い。おいしさを届けていく」と前を見据えた。
■豚骨ラーメンが主流
インドネシアには現在、「博多一幸舎」や「山頭火」「山小屋」など有名ラーメン店が出店しているが、豚の骨を煮込んでつくる豚骨ラーメンが多い。
日系企業で働くインドネシア人のデシィさんは「ラーメンを食べたいイスラム教徒はたくさんおり、豚不使用のメニューも増えてほしい」と話した。(小塩航大、写真も)