親子の触れ合い大切 マイルストーンが発達講座
南ジャカルタのプルマタ・ヒジャウにあるファンクションルームで3日、「手作り布おもちゃの実践と子どもの発達講座」が開かれ、11人が参加した。
布おもちゃ作りの指導にあたった大江季久子さん(55)は、「自作のおもちゃを通して子どもとコミュニケーションを取ってほしい」と参加者に語りかけた。
インドネシア人の子どもを対象とした発達障害者生涯学習センター「マイルストーン」が企画したもので、子どもの発達障害についての講演もあった。
参加者が約1時間の作業に取り組むと、大江さんが持参したオリジナルキットが手のひらサイズのヒヨコのおもちゃに変身した。タマゴ型の白いタオル生地をめくると黄色いヒヨコが姿を現すという仕掛けだ。
広いスペースで身体全体を使うと方向感覚が発達するように、布を裏返すために手首を使うことで脳を刺激して成長を促すことができる。また、子どもは親とコミュニケーションを取り
ながら、愛情が得られる。
大江さんは「子どもにとっては母親が作ったということに意味がある。裁縫が苦手なら、自分の好きなものでコミュニケーションを取ってほしい」と語った。生後5カ月の子どもを連れて参加した古川みゆきさん(31)は「こうした機会がインドネシアでは少ないので貴重だった」と話し、集まった参加者らと交流を深めていた。
大江さんは1989年に自作のキットを利用した布おもちゃ教室「TAーTAN(たぁたん)」を京都府の自宅で開講。作り方を載せた書籍なども出版し、現在は京都府を中心に滋賀県、大阪府などで活動している。
今回は布おもちゃ作りのほかに、マイルストーンで活躍する伊藤昌江さん(55)が子どもの発達障害について講演した。「発達障害に気付くには、子どもをよく観察して、苦手なものを知ることが大切」と話した。
早期発見が重要で、そのために必要なのは周囲の者の気配りだという。「どんなサインでも気にかけること」と語り、理解を呼びかけた。
西ジャワ州ブカシ県チカランを拠点とする財団法人マイルストーンは3〜13歳の障害を持つインドネシア人の子ども6人に学業を支援している。
スタッフは4人。インドネシア国内では各自治体によって保健士の制度が異なり、一貫した幼児支援が受けらるれため、教育や環境制度の充実が課題だという。今後は学業支援だけでなく就労支援の体制も作っていくつもりだ。(西村百合恵、写真も)