【生活市場】スタッフ指導に尽力 特製パンも準備中 ドイツパン職人吉村さん
日本食スーパー「パパイヤ」ブロックM店内のベーカリー「小麦」で今月初めから、ブランジェリー(パン職人)の吉村秋寿さんがパン作りを始めた。インドネシア産材料の特徴に合わせたレシピの開発や、インドネシア人スタッフの指導に励む。
吉村さんは神戸のドイツパン専門店「フロインドリーブ」で修行を積んだドイツパンの職人。米国ハワイや中国など海外勤務の経験も豊富だ。インドネシアではジャカルタに常駐し、今後はバリ州や東ジャワ州スラバヤなどの店舗にも助言していくという。
現在はレシピを作成中だ。インドネシア産の小麦粉は、タンパク質グルテンが少なく、生地の水分を含む力が弱い。そのため焼き上がったパンの柔らかさが欠けがちだ。それを防ぐため、バターや卵などの油脂で補うという。
パン作りでは、気温などの環境に合わせて生地に水分を足すなど、細かな調整が求められる。「レシピはあくまで基準。パンに人間を合わせる必要があり、その指導が一番難しいが、だから面白い」と笑う。言葉の壁を「パントマイム」で超え、明るく屈託のないインドネシア人スタッフらの指導に尽力する。
クリスマスにはドイツのシュトーレンなど、期間限定のパンも提供予定だ。琥珀(こはく)色の純粋なバターをしみ込ませる伝統的な作り方に従う。ラム酒に漬け込んだドライフルーツを入れて焼き上げた生地を、銅の鍋で煮込んで不純物を取り除いたバターに漬けて作る。通常は3〜4カ月持つが、湿度の高いインドネシアでも1カ月は大丈夫と見込む。
ベーカリー「小麦」にはパティシエの鈴木清美さんも今年1月から常駐。クリスマスに向けて「幸せや楽しさを感じてもらえるようなケーキを作りたい」と意気込む。今年は別添えのチョコレートのプレートなどを使い、自分で飾り付けを楽しめるケーキを考案している。
クリスマス用のパンは3種類、ケーキは4種類を販売予定。来月10日をめどに発売。価格は未定。(宮平麻里子、写真も)