【じゃらんじゃらん特集】祖先神マラプの家 慣習息づくスンバ島 東ヌサトゥンガラ州
小スンダ列島のロンボク、コモド島を越えた先にあるスンバ島の「マラプの家」。インドネシアの地方には慣習に守られた家が存在する。
東ヌサトゥンガラ州のスンバ島にはインドネシアの土地では少なくなった祖先崇拝「マラプ教」の人々が暮らす。
家屋はマラプ教の精神を体現する。とんがり帽子の形をしたマラプの家は3層構造で高床式になっており、床下に豚や馬など家畜が住み、中央に人間が、とんがり帽子の屋根裏部分には祖先神のマラプが住む。
内部では4本の主柱がマラプの屋根裏を支える。柱には装飾が彫られ、家屋建設の際には遠くの森から運ぶ柱曳きの儀式が行われるなど神聖視されている。4本の柱は内部空間を明確に分ける。マラプの家では男と女の入り口が別となり、家屋正面の右側が男、左側が女だ。とんがり屋根の真下には炉が置かれる。
集落の中央部には支石墓が並び、大きなものは3〜4メートルを超す。スンバ島の中央から西部の集落には今も巨石文化の跡が見られる。
マラプの家は西と東でとんがり型の棟の高さが異なり、西部では10メートルを超すような長大な家屋も見られるという。現在は屋根葺きに使う材料が高価になったために、トタンで作られた家屋が多くなった。
■島の伝統織り込む
スンバ島ではパソラと呼ばれる騎馬戦のお祭りがあり、イカットなどにその模様が織り込まれている。イカットの制作や販売は東のワインガプが盛んだ。路上などで販売されているほかに「アマ・ナイ・トゥカン」という店舗にイカットが集められて販売されている。
3メートル近くの大きなものは400万〜1千万ルピアを超える高価なものもある。日本人には青色のものが人気だそうだが、現地では赤色が最も人気があるという。
スンバ島へはバリ島デンパサールから直行便が飛んでいる。島の西部と東部のどちらにも飛行場があるが、どちらで降りても車で4〜5時間もあれば西部から東部まで移動できる。西部は夜には冷え込むので、上着があったほうがいいだろう。
観光のピークは騎馬戦がある2〜3月。空港にタクシーはないので、ホテルに事前に頼んでおいたほうがいい。(高橋佳久、写真も)