有機製品、もっと身近に オーガニック・グリーン・ヘルシー・エクスポ
健康で環境に優しい生き方を広め、生産者・消費者などの連携を図る展示会「オーガニック・グリーン・ヘルシー・エクスポ(OGHE)」が3〜6日、ジャカルタで開かれた。国内各地から132の出展者が参加し、有機(オーガニック)栽培の野菜などを販売したほか、リサイクルやヨガ、料理のワークショップも開催した。
会場となった西ジャカルタ・南パルメラ通りのコンパス・グラメディア・グループのオレンジ・スタジオ駐車場に入ると、青々と茂るレタスやチンゲンサイが目に飛び込む。土を使わず、栄養分を加えた水をポンプで循環させ育てる水耕栽培(ハイドロポニック)の展示だ。
会場中央に置かれた水耕栽培の展示を取り囲むようにブースや特設ステージが並ぶ。化学洗剤をレモンなど自然素材で代用する方法の講義に耳を傾けたり、有機栽培の材料で作った焼き菓子などを買い求めたりする家族連れなどでにぎわう。
2008年に設立され、現在約120の中小企業と約2万人の個人会員が所属する団体コミュニタス・オーガニック・インドネシア(KOI)が主催した。11年の初回時は出展者約40、来場者約2千人だったが、今年の第3回は来場者が7千人を超えた。
OGHEの広報担当者ベティ・ヌルバイティさんによると、来場者の多くが中間層・富裕層だ。ベティさんは「オーガニック商品は確かに割高ですが、決して富裕層だけのものではありません。多くの人が買うにつれて、値段が下がるはずです」と強調する。OGHEで売られる商品がスーパーマーケットより安くなることもあるのは生産者が消費者へ直接販売するからだという。
西ジャワ州ボゴール・ブキット・チコネン農園のブースでは、有機栽培のトマトやトウモロコシなど、色とりどりの野菜を多くの来場者が品定めしていた。真っ赤に熟れたトマト5個は、小売業者価格1万5千ルピアより安い9千ルピアで手に入る。
クリストファー・エミル・ジャヤナタKOI会長によると、国内で有機栽培する農家の数はまだ少ないという。有機栽培の認証は申請に4千万ルピア、更新に毎年500万〜800万ルピアかかる。農家の多くは小・中規模のため、大きな負担になる。
KOIはオンライン注文で消費者に直接商品を届けるウェブサイト『グリーン・アウトレット(グライ・ヒジャウ)(http:// www.geraihijau.com/)』を始めた。
小売業者を通さず、安価で商品を提供する試みだ。第三者から認証を得る代わりに、KOI参加者間で立ち上げた生活協同組合(コペラシ)がオーガニック商品と保証することも、価格を下げる助けになる。「2カ月前に立ち上げたばかりで、改善の余地は多いですが、注文はすでに受け付けています」とクリストファー会長は話した。
南ジャカルタ・ポンドック・インダ在住の年金生活者ヤントさん(63)は、OGHEに来て、水耕栽培を試すことにした。大規模な装置を使わなくとも、根を支えるものがあれば、植木鉢と同じように育てられると知ったからだ。
パクチョイやパセリなど野菜の種を各2千ルピア、プラスチックのスポンジを小さく切ったもの数十個を1万ルピア、プラスチックのコップを1万2千ルピアで購入。見本にもらった苗は、葉はまだ数枚だが、プラスチックのコップの中でしっかりと根を張る。「のんびり成長を見守るよ。うまく行けば、展示されているような装置も試してみるつもりだ」と笑顔を見せた。(宮平麻里子、写真も)