「平和維持に責任」 領土問題、対話姿勢アピール 習主席が国会演説
インドネシアを訪問中の中国の習近平国家主席は3日、国会で演説し、「中国とASEAN(東南アジア諸国連合)諸国はともに地域の平和と安定を維持していく責任がある」と訴えた。中国とASEAN4カ国が領土を争う南シナ海を念頭に置いた発言。領土問題を抱える国との緊張が高まる中、対話を通じて解決していく姿勢をアピールした。
習主席は領土や海洋権益での対立について「2国間の友好関係や地域の安定を維持するため、常に平和的な方法で解決すべきだ」と強調。「集団安全保障体制を構築していくことが地域の平和と安全に繋がる」として、防衛のほか災害対策やサイバー攻撃対策、国際犯罪などの分野でも協力していくべきだと訴えた。
平和的解決を主張し、南シナ海問題で衝突を避けるための「行動規範」採択の協議も始まっているが、中国はこれまで「核心的利益」とする領土問題では譲歩しない態度を崩していない。特にフィリピンとは同国が国際海洋法裁判所への仲裁を求めたことなどをめぐって関係が悪化している。
演説で、習氏は「中国とASEAN諸国はこれまで、ともに困難を乗り越えてきた。これからも、ともに成長していくために協力していく」と、繰り返し協調の重要性を強調した。
また、インドネシアとの関係については、インドネシアのことわざなども引用し、自然災害での支援など両国の関係の深さを訴えた。
また、両者の発展には貿易や人材交流、安全保障面で緊密な連携が必要だと指摘。来年を「中国ASEAN文化年」を定め、今後3〜5年でASEAN向けに1万5千人分の奨学金を供与する方針などを打ち出した。
地元メディアによると外国の国家元首が国会で演説したのは初めて。(堀之内健史)